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『AIサージェリー』の実現へ【東京女子医大】

スマート治療室「ハイパーモデル」臨床開始

東京女子医科大学はIoTを活用して、治療室内の各種医療情報をリアルタイムに把握しながら手術できるスマート治療室「ハイパーモデル」の臨床研究を開始した。

ハイパーモデルは2016年の広島大学による「ベーシックモデル」、18年の信州大学による「スタンダードモデル」に続く、第三世代のスマート治療室となる。

東京女子医科大学では第一病棟内にハイパーモデルを設置。各種医療情報を時系列の治療記録として、収集・提供し、手術室外の医師・技師などにも共有することにより、治療の効率性や安全性の向上が期待される。

これを検証するため脳神経外科に関する臨床研究を開始。スマート治療室の情報は将来的にはビッグデータとしての解析もでき、保守・管理の面でも、機器操作ミスの防止や機器故障の未然検知、コスト管理(稼働時間の短縮)に大きなメリットをもたらす。

今後、ハイパーモデルはロボティック手術台を実用化し、MRIへの患者自動搬送や治療室での術野位置コントロール機能を実現していくほか、生存予後や機能予後の予測、術中の危険予測、手術効率向上のアドバイス--などを迅速に行うための臨床情報解析システムを開発し、蓄積した臨床情報を高効率に利用できる「AIサージェリー」の実現をめざす。

スマート治療室の開発は日本医療開発研究機構(AMED)の支援を受け、東京女子医科大学が統括。信州大学や広島大学、東北大学、鳥取大学の4大学のほか、デンソーや日本光電、ミズホ、パイオニア、キヤノンメディカルシステムズ、日立製作所、セントラルユニ、グリーンホスピタルサプライ、エア・ウォーター、エア・ウォーター防災、SOLIZE--など11企業が参画している。