外科手術領域に参入 ー アークレイ
血液凝固分析装置「スポットケム」投入
アークレイ(社長=松田猛氏、京都市上京区)は、血液凝固分析装置「スポットケムHS HS―7710」を発売し、外科手術領域に参入した。同装置は手術室などで簡便・迅速な測定が可能で、全血検体を使用することにより、血液凝固能を包括的に把握できる。
同装置は遠心分離後の血漿を用いた一般的な凝固検査と異なり、全血検体を使用することで生体内に近い(血液そのもの)凝固能の評価が可能。出血要因を的確に把握できるほか、検体の前処理も不要なので、処理時間を短縮する。
5種類の試薬カートリッジを使用し、最大4項目まで同時測定できる。また、装置に検体の自動分注や試薬撹拌、温調機能を備えているので全血検体や試薬カートリッジ、ピペットチップをセットするだけで全自動測定を開始する。
心臓手術や肝移植、産科などは大量出血のリスクが高く、迅速・的確な止血管理が求められる外科手術の現場や集中治療室などで、変動する凝固状態の把握に活用できる。
これまで、アークレイは糖尿病検査関連を中心に、血液や尿の分析システムの開発、臨床検査事業を拡大してきたが、同装置は国内メーカーとして初めて開発した包括的血液凝固分析装置となる。
同装置の実用化にあたっては日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受け、ソニーの技術を応用し、アークレイが開発した。価格は680万円(税別)。アークレイでは3年後に累計100台の販売を計画している。