「スマート治療室」設置【AMED】
信州大学に『スタンダードモデル』を
日本医療研究開発機構(AMED)は、IoTを活用して各種医療機器・設備を接続、連携させ、手術の精度と安全性を向上させる「スマート治療室」を国内の5大学、11企業と共同で開発を進めているが、このほど、2019年度内の事業化をめざす『スタンダードモデル』を信州大学医学部附属病院に完成させ、臨床研究を開始した。
スマート治療室の開発は東京女子医科大学・先端生命医科学研究所の村垣善浩教授、岡本淳特任講師ほかが統括。汎用性の高い治療室用インターフェース「OPeLiNK」をデンソーが中心に開発し、日立製作所のオープンMRIなどの手術室内医療機器・設備に接続させている。
2016年には広島大学病院に『ベーシックモデル』、東京女子医科大学に『ハイパーモデル(プロトタイプ)』を設置し、機器のパッケージ化や新規アプリケーションなどの開発に取り組んできた。
今回、信州大学医学部附属病院に設置したスタンダードモデルは、各種医療情報を時系列の治療記録として、収集・提供(表示)する。医療情報は手術室内外の医師や技師などで共有できるので、治療の効率化や安全性の向上が期待される。
信州大学は7月から脳腫瘍に関する臨床研究をスタートさせ、実用性を検証する。将来的にスマート治療室の情報はビッグデータとしての解析も可能で、保守・管理の面でも、機器の操作ミスの防止や、機器故障の未然検知、コスト管理(稼働時間の短縮)――などにメリットがある。
スタンダードモデルはパッケージ化して国内外での上市も視野に入れており、販売は日立製作所が担う。また、今年度末には臨床研究が可能なハイパーモデルを東京女子医科大学に設置し、ロボットベッドや新規精密誘導治療などの新技術を20年以降に適宜、導入していく。
【スマート治療室プロジェクト参画大学、企業】
◆大学=東京女子医科大学▽信州大学▽広島大学▽東北大学▽鳥取大学
◆企業=デンソー▽日立製作所▽ミズホ▽日本光電工業▽パイオニア▽キヤノンメディカルシステムズ▽セントラルユニ▽グリーンホスピタルサプライ▽エア・ウォーター▽エア・ウォーター防災▽SOLIZE