「小型医療検体輸送容器」新開発【タイガー魔法瓶】
Gaudi Clinical と共同開発、実用化へ

タイガー魔法瓶(CEO=菊池嘉聡氏、大阪府門真市)は、Gaudi Clinical(社長=飛田護邦氏、東京都中央区)と共同で、ステンレス真空断熱技術を活用した小型医療検体輸送容器「真空断熱セルポッド」を新開発した。再生医療分野における細胞輸送プロセスの高度化を目的に、4月から実証実験としてテスト運用を開始。両社は実証実験の成果をもとに、2027年の実用化に向けて製品改良を進める。
真空断熱セルポッドは小型の本体により、個別の検体ごとの取り扱いや持ち運びやすさを実現した。従来の専用車両での輸送に依存せず、公共交通機関やハンドキャリーといった柔軟な輸送手段が活用可能となり、渋滞リスクの回避による定時性の向上、運用の効率化を実証した。
サイズは縦約18㌢㍍×直径約10㌢㍍、重量は約0.7㌔㌘と、従来の断熱輸送箱に比べ大幅に小型・軽量化している。
輸送には一定温度を維持するための潜熱蓄熱材を使用し、コンパクトなサイズでありながら、内容物の温度については20℃帯を24時間、5℃帯を11.5時間の温度維持を達成した。
フタ内部には太平洋工業社製の温度ロガーを内蔵し、ブルートゥース通信機能でスマートフォンと連携。輸送中の温度データをリアルタイムに取得し、規定温度からの逸脱時にはアラートが発報される仕組みを採用した。データはクラウドに集約され、本部での一括・集中管理と輸送中の温度状況の可視化を可能にしている。
実運用における3つのフェーズの最適化に向け、医療機関で検体を採取する「採取フェーズ」ではセルポッドへの封入における確実性と安全性を確認し、スタッフの作業負担軽減を検証。細胞加工施設での「用時調製フェーズ」では、専用車両に依存しないハンドキャリーや公共交通機関を利用した配送モデルを投入し、定時性確保と時間短縮効果を検証した。医療機関への「納品フェーズ」では、1名の配送者が複数個のセルポッドを携行して複数箇所へ一度に納品する「マルチドロップ」の実現性を検証し、最適ルートの開拓を進めた。
従来の細胞輸送では断熱輸送箱を用いることが多く、移動手段が限られることに加え、公共交通機関での持ち運びや医療機関内での運用において負荷が生じる場合があった。加えて、複数の検体を1つの容器で扱う運用(混載時)には、特定の検体の出入りにともなう不確実性やリスクが懸念されており、高度化する再生医療のニーズに対し、運用面の柔軟性と確実性の両立が求められていた。