技術・製品

術中迅速診断を可能に【サクラファインテックジャパン】

凍結病理標本作製の冷却溶剤 発売

冷却溶剤「ヒスト・テックハイフロイドⅡ」

病理検査機器・器材のトータルサプライヤーであるサクラファインテックジャパン(社長=恩田和人氏、東京都中央区)は、がんなどの迅速診断に使用する凍結病理標本の作製に用いる冷却溶剤「ヒスト・テックハイフロイドⅡ」を10月1日に発売した。

がんの病理診断の1つとして、外科手術中に腫瘍やその周辺組織を採取し、腫瘍の良・悪性の判断や、病変部が完全に取り除かれたかどうか、転移がないかなどを確認するために「術中迅速診断」が行われることがある。

術中迅速診断では病理医が顕微鏡で観察できるよう、患者から採取した組織を急速に凍結してブロック状に固め、それを薄くスライスして凍結病理標本を作製する。手術中の限られた時間の中で行うため、通常は10分程度での実施が求められている。

ハイフロイドⅡは、この術中迅速診断に使用される凍結病理標本を作製するための冷却溶剤で、凍結ブロック作製装置「ヒスト・テックピノ」専用の製品。従来品「ヒスト・テックハイフロイド」の後継品として、保存容器を金属製から樹脂製に変更することで、へこみなどの変形が起きにくくなった。

また、冷却に使用する有機溶剤は、アセトンなどと比較して人体への毒性が低く、発火のリスクも低いため、装置に入れたまま安全に保存することが可能となる。

さらに、ハイフロイドⅡは超低温環境(マイナス75℃以下)でも液体状態を保つため、対象物を浸漬することで効率的な凍結病理標本の作製をサポートする。

ハイフロイドⅡの内容量は1㌔㌘(約700㍉㍑)。希望販売価格は3万6,000円(税抜き)。