悪性脳腫瘍の再発予防めざす【河野製作所】
治療PDT用の医療機器を開発

河野製作所(社長=河野淳一氏、千葉県市川市)は、悪性脳腫瘍の再発予防を目指す治療・光線力学的療法(PDT)に使用する医療機器「PDTシートⅡ」を発売した。
PDTは悪性脳腫瘍の切除後に、再発を予防する目的で行われる日本発の治療法で、PDTシートⅡはPDTにおいて、レーザー光を遮光するシートとして用いられる。
PDTの流れは、脳腫瘍に集積する薬剤を術前に投与→手術で脳腫瘍を切除→レーザー光を当てることで術前に投与した薬剤が反応し目視で切除しきれなかった腫瘍細胞を死滅させる――となっている。PDTの実施にはPDTシートⅡが不可欠で、不織布2枚の間に挟まれているアルミ箔がレーザー光を遮光する。
手術ではレーザーを照射するごとに目印を書いたシートを置き、レーザーの重複照射を防ぐ。シートは生理用食塩水に浸して使用するため、PDTシートⅡはその環境下でも文字がにじみにくい素材を使用している。
また、レーザー光を照射中にシートが乾いて組織がくっつくと、シートをはがす際に組織を傷つける可能性があるが、PDTシートⅡは多孔質な素材を採用し、組織にくっつきにくくなっている。
PDTシートⅡの形状は、腫瘍周辺の血管にレーザー光が当たらないよう遮光する「帯型」と、レーザー光の照射が完了した箇所に対し遮光する「丸型」の2種類がある。
悪性脳腫瘍に対するPDTの実施には、遮光ができるシートが必要だが、専用の医療機器を欠いていた状況にあった。そこで河野製作所は脳神経外科の医師のニーズを受け、PDTシートⅡを開発した。これまでも同社では専用の医療機器が存在しない分野へ「脳神経減圧術(MVD)用補綴材」や「世界最小の手術用針」などの製品を開発、上市している。