CT画像を複合現実で観察【日本メドトロニックなど4社】
「トレーニングシステム」発売
日本メドトロニック(東京都港区)とキヤノン(東京都大田区)、キヤノンITソリューションズ(東京都港区)、ザイオソフト(東京都港区)の4社は連携し、CT(コンピューター断層撮影装置)で撮影した肺の構造を複合現実(MR)で観察できる医療従事者向けのトレーニングシステム「MRAnatomy」の販売を開始した。
同システムはザイオソフトの3次元医用画像処理システムなどにより出力された3Dデータ化した肺のCT画像を、キヤノンのMRシステムで現実空間に実寸大の3D画像を表示する。2D画像では把握することが難しかった症例ごとに異なる病変の位置や血管の走行、臓器の大きさなど、肺の解剖学的構造を実寸大で立体的に理解することが可能。トレーニングでありながら実際の検査画像を使用することで、理解を深めることができる。
3Dデータ化した肺のCT画像を、専用アプリケーションを用いてPCでドラッグ&ドロップするだけでセットアップが完了し、すぐに観察を開始できる。さらに、表示した肺の3D画像は体験者の手で拡大・縮小や、回転させることができ、直感的に操作することが可能となる。
日本メドトロニックは4社合同による同システムの開発をリードし、今後の販売を担う。同サービスの月額使用料は25万円(税抜)。
肺がん手術は区域切除と呼ばれる、より小さく腫瘍を取り除く手技が増加しており、それにともない精細な肺の構造の理解が外科医に求められている。そこで近年では、3次元医用画像処理システムで3D画像を制作し、平面のPCモニター上で観察しているが、実寸大ではなく、かつ立体視できないため3Dの利点を生かしきれていないことが課題となっている。