技術・製品

マイクロサージャリー支援ロボ【ソニーグループ】

独自技術で開発した試作機を公開

マイクロサージャリー支援ロボットの試作機

ソニーグループは手術器具の自動交換と精密操作が可能なマイクロサージャリー支援ロボットを開発した。その試作機を5月13日からパシフィコ横浜で開催されたロボット工学とオートメーション分野に関する米国電気電子学会(IEEE)国際会議「ICRA」のソニーブースで初公開した。

同試作機は血管や神経といった微小な組織を、顕微鏡などを用いながら処理するマイクロサージャリーの支援を想定し、ソニーの研究開発組織が技術開発のために試作したロボット。

人の指先の微細な操作を高感度に捉えることができる小型・軽量な操縦デバイスを開発した。手術器具の先端には複数の関節を設け、人の手首のように滑らかに動作する。

また、従来のロボットによる手術支援では器具の手動交換に時間を要していたが、同試作機は手術器具の小型化により、複数の器具をロボットアーム付近にコンパクトに収納したことで、左右のアームが小さな動作で器具の着脱を行い、人が介在しなくても短時間で手術器具を自動交換する。

さらに、患部や手術器具の動作を高精細に確認できるように、クループ企業のソニーセミコンダクタソリューションズが開発した1.3型4KOLEDマイクロディスプレイを活用し、色や質感、奥行きなどを忠実に再現する4K映像を出力することで、視覚でも医師の作業を支援することを目指す。

2月に愛知医科大学で行われた同試作機を用いた実験では、マイクロサージャリーを専門としない医師や医療従事者により動物の血管(直径約0.6㍉㍍)の吻合に成功した。今後もソニーは大学の医学部や医療機関などと協働し、手術支援のためのロボット技術の開発と、その有効性の検証を進めていく。