技術・製品

インフルエンザ診断を1.5分で早期判定ーアークレイ

「ウイルス感染症診断システム」発売

アークレイ(社長=松田猛氏、京都市中京区)は、発症初期では判定が困難であった感染症の起因ウイルスを高感度・迅速に検出できる移動式免疫蛍光分析装置「スポットケムFLORA SF―5520」を発売した。インフルエンザの診断では専用試薬を使用し、最短1・5分の早期判定を実現した。

「スポットケムFLORA SF-5520」

SF―5520は蛍光寿命が長く、検出しやすい蛍光波長を持つユーロピウムを標識物質に利用したTRF法(時間分解蛍光法)を用いて、高感度な検出性能を可能にした。

従来のインフルエンザの検査では、体内のウイルス量が増加してからでないと判定が困難であったが、SF―5520は通常の蛍光物質と比較して20万倍の蛍光寿命を持つ専用試薬『スポットケムFLORA FluAB』を使うことで、ウイルス量の少ない発症初期での検出・診断を実現した。

高感度な判定を最短1・5分から計4回実施(2・5分、4分、6分)し、陽性反応を検出した時は最終判定(10分)前に早期判定結果を印字するので、検査時間や患者の待ち時間短縮などの負担を軽減する。

最大3検体の同時処理に加え、測定中でも随時、検体を追加して測定が可能なので、流行期の検査効率を向上させる。

操作方法は前処理後の検体を滴下したテストカートリッジを装置に挿入するだけの簡単操作で、結果を自動判定する。従来の人による目視での判定や時間管理は不要になる。

カラータッチパネル表示とLEDランプを採用し、検査状況をリアルタイムにわかりやすくモニタリングする。カートリッジに名前や記号などの文字を記入できるので、装置で検査結果とともに読み取るため、検体の取り違え防止に役立つ。

ハンディーバーコード(別売り)を使用したオンライン運用が可能となり、流行期や検体数の多い施設でも、より安全で効率的な運用ができる。SF―5520の価格は88万円(税別)。同社の国内販売統括会社のアークレイマーケティングから販売される。