水蒸気で低侵襲な治療【ボストン・サイエンティフィックジャパン】
前立腺肥大症の治療デバイス
ボストン・サイエンティフィックジャパン(社長=森川智之氏、東京都中野区)は、前立腺肥大症(BPH)にともなう下部尿路症状への新たな治療法の経尿道的水蒸気治療(WAVE)デバイス「Rezum(レジューム)システム」を発売した。
レジュームは高周波電流を供給するジェネレータや、前立腺組織用の水蒸気デリバリーシステムを搭載した治療デバイス。肥大した前立腺肥大症に関わる前立腺組織を減らし、症状を改善させる。水蒸気を利用し狙った部位のみを治療する標的治療で、103度の水蒸気を噴霧し、前立腺組織を約70度まで上昇させ、組織を壊死させる。
手技時間は10分~15分程度で従来の治療法より短く、従来の術式と比較してほとんど出血がなく、局所麻酔で
行える低侵襲な治療で、性機能維持も可能となる。
レーザー治療など現在のBPH手術療法と同様に薬物療法が奏功しない患者で、従来の手術療法が困難な高リスク患者や高齢患者への新たな治療選択肢を提供する。
前立腺肥大症は増加傾向にあり、全国に約215万人いると推計されている。しかし、医療機関を受診し、前立線肥大症の治療を受ける患者数は約48万人で、多くの人が受診していない状況となっている。前立腺肥大症は発症すると頻尿や、夜間に何度も排尿に起きることによる睡眠不足など、QOLに影響を及ぼす可能性があるため、早期の治療が重要となっている。
日本大学医学部附属病院板橋病院の髙橋悟院長は「レジュームによるWAVE治療は、これまでの手術療法では治療を受けられなかったBPHの患者にとって、体の負担が少なく不要な副作用を抑えることができる治療法となる。加えて尿道粘膜・性機能を温存し、異物留置することなく、低侵襲に治療できる」とコメントしている。