技術・製品

「情報統合手術室」販売開始【日立製作所】

SCOTの概念の基に実現

SCOT 化した手術室のイメージ(東京女子医科大学)

日立製作所ヘルスケアビジネスユニットと術中情報統合システム開発企業のOPE×PARK(オペパーク)は、次世代情報融合プラットフォーム「OPeLiNK(オペリンク)」の販売で合意した。合意に基づき、日立は情報統合手術室「METIS(メーティス)」の販売を開始した。

メーティスはオペリンクを中核とする情報統合手術室。これまで日本医療研究開発機構(AMED)のプロジェクトで東京女子医科大学などが推進してきたスマート治療室「SCOT(Smart Cyber Operating Theater)=スコット」の概念を基に実現した。

日立は長年培ってきた画像診断機器の技術を治療支援に拡張してきた。術中MRIシステムや、電気メスなどの手術器具の位置をMRIやCTから取り込んだ画像上に表示し、リアルタイムな手術操作箇所の把握を支援する手術ナビゲーションシステムなどの手術支援ソリューションを提供してきた。

一方、OPE×PARKは、あらゆる機器と既存の仕組みをネットワーク化し、手術室内の各機器の出力データをデバイス非依存で常に同じフォーマットに表示する次世代情報融合プラットフォーム「オペリンク」を開発してきた。現在はオペリンクを活用した手術機器情報統合システムの開発・販売のほか、同システムから抽出したデータを基に、いつでも・どこでも最先端の手術が学べる教育コンテンツの制作・配信サービスを手がけている。

手術時のさまざまな情報を一元管理

今回、日立が有する手術室インテグレーションノウハウと、OPE×PARKのオペリンクを組み合わせることで、MRI画像などの映像系に限らず、生体情報などさまざまな手術時の情報を一元管理できる情報統合手術室を実現する。

日立はオペリンクを軸に、医療機器を含む手術室のエンジニアリングや手術室運用効率化支援、メンテナンスを各科・各症例向けにSCOTのコンセプトの下にパッケージ化してメーティスとして販売する。

メーティスの導入により、手術室内の各種医療機器から発生する異種情報を時間同期させて保存することが可能となり、従来は困難だった手術過程におけるイベントの多面的な分析を可能にする。

また、病院内の離れた場所との手術統合情報の共有により、場所を問わず手術室の状況を把握することができる。さらに、手術室外にいる熟練医師が映像上に注釈を書き込んだり、音声を共有することができ、執刀医と熟練医のコミュニケーションを支援する。

今後、両社は情報統合を活用した手術情報のデータベース化や、同データベースを用いた各科・各症例向け手術支援アプリケーションの拡充を図り、メーティスの使いやすさや価値向上に取り組んでいく。