世界最小クラスのエクモ【近畿大学】
小児や低体重の患者向けに開発
近畿大学生物理工学部医用工学科の福田誠准教授らの研究グループは、小児や低体重患者向けに世界最小クラスの体外式膜型人工肺(エクモ)を開発した。2021年に医療機器メーカーのジェイ・エム・エス(社長=奥窪宏章氏、広島県広島市)が発売する予定。
エクモは心臓冠動脈バイパス術などの心臓血管外科手術などで使用される。また、新型コロナウイルス感染症による重度の急性呼吸促迫症候群の治療にも用いられ、重症患者にとって『最後の砦』といわれている。
同研究では、多様な材料で構成されるエクモ内部の血液経路を非破壊で撮像するため、高出力のX線CT装置を用いて、エクモ使用時のX線造影剤と空気の滞留に着目して観察した。
その結果、エクモ血液流路の局所部分で造影剤や空気が滞留していることが判明。これをもとに、血液や空気の滞留を抑制して過剰圧力損失を抑制できるエクモの設計コンセプトを考案し、世界最小クラスのエクモを開発した。
今回、開発したエクモは、主に小児や低体重の患者への活用が期待されるとともに、臨床現場での過剰圧力損失によるインシデントを軽減することも期待されている。
国内の過剰圧力損失の発生率は0.4~2.5%といわれ、過剰圧力損失にともなうエクモ交換頻度については小児が成人の6倍の交換頻度があり、小児の過剰圧力損失による、インシデントの軽減が課題となっている。