非侵襲に連続心拍出量を提供【日本光電】
患者の負担を軽減し安全性追求
日本光電(社長=荻野博一氏、東京都新宿区)は、生体情報モニタの基本パラメータである心電図とパルスオキシメータから得られる脈波を用いて、非侵襲で連続的に心拍出量(1分間に心臓から全身に送り出される血液の量)を算出する技術esCCO(非侵襲連続推定心拍出量)の提供を国内で開始した。
同社の独自技術であるesCCOは、1990年から研究を進めてきたPWTT(心電図のR波からパルスオキシメータを装着した抹消の脈波出現までの時間)を基に、産学連携による共同研究から2004年に開発に成功。11年に海外で販売し、臨床研究を継続してきた。今回、esCCO対応SpO₂ 粘着センサ「TL―280シリーズ」の準備が整ったことから国内販売の開始となった。
従来の心拍出量測定は、血管内にカテーテルを挿入する侵襲的な測定が一般的だが、患者に痛みをともない、感染リスクが課題となっていたほか、非侵襲的に測定する場合も、専用センサやモニタが必要で、医療コストの点から限られた患者にのみ実施されてきた。
esCCOは生体情報モニタの基本パラメータのみで心拍出量を非侵襲で連続的に算出するため安全、簡便、経済的に循環動態モニタリングができる。
非侵襲な心拍出量測定に完全に置き換わるものではないが、出血や急激な血圧低下など循環動態の変化を監視する必要がある腹腔鏡手術や帝王切開、高齢者の手術などに活用することで、医療安全の向上が期待できる。