米国で「血液成分分離装置」緊急使用許諾【テルモ】
新型コロナウイルス感染症対策で
テルモ(社長=佐藤慎次郎氏、東京都渋谷区)の遠心型血液成分分離装置「スペクトラオプティア」が、米国食品医薬品局(FDA)から新型コロナウイルス感染症の患者への緊急使用が許諾(EUA:Emergency Use Authorization)された。
使用にあたっては、Marker Therapeutics AG社(スイス)の「D2000吸着カートリッジ」と組み合わせて、新型コロナウイルス感染症を原因とする呼吸不全で集中治療室(ICU)に入院している18歳以上の患者に使用することが条件となる。
これまで、新型コロナウイルス感染症に対するEUAは、検査キットや診断機器、防護服などに出されていたが、治療機器としては「スペクトラオプティアとD2000吸着カートリッジの組み合わせ」が初めて許諾された。
インフルエンザやコロナウイルスなどの感染症では、ウイルスを排除するために分泌されたサイトカインが、過剰な免疫反応(サイトカインストーム)を起こし、重篤な呼吸障害につながることが知られている。
スペクトラオプティアは、患者の血液を専用のディスポーザブル回路に通すことで、血球と血漿に分離する。回路に接続したD2000吸着カートリッジが、血漿中に存在するサイトカインを減らし、血液は、また患者の体内に戻る。サイトカインの減少により、サイトカインストームが抑制され、呼吸障害の改善が期待できる。
現時点で、FDAが新型コロナウイルス感染症に対して治療効果があると承認した医療機器はなく、「スペクトラオプティアとD2000吸着カートリッジの組み合わせ」も、公衆衛生の緊急事態である期間のみの使用許諾となる