技術・製品

世界初のAI骨密度測定【島津製作所】

新製品「X線TVシステム」を投入

島津製作所(社長=上田輝久氏、京都市中京区)は、骨粗しょう症の診断やその経過観察、治療過程などを行う骨密度測定でのX線画像を、人工知能(AI)技術を用いた画像処理により、高精度で迅速に提供する新しい機能を世界で初めて開発した。これにともない同機能をオプションとして導入できるX線TVシステム「ソニアルビジョン  G4LX  エディション」を発売した。

島津製作所では2014年に、骨密度測定法の中で最も精度が高いといわれるDXA法(2種類のX線による測定法)を採用したX線TVシステムでの骨密度の測定を世界で初めて可能にした。ただし、測定箇所である大腿骨のX線画像に『セグメンテーション』(画像上で骨領域を抽出する作業)が必要で、これには一定の経験と作業時間を要していた。

これを踏まえ、同社では今回、深層学習(ディープラーニング)技術を用いて、熟練者の作業内容を瞬時に行う『AIアシスト機能』を開発した。

被ばく量が従来の半分以下に

また、今回発売したG4LXエディションでは、大幅な被ばく低減を実現する最新鋭のデジタル画像処理技術(SCORE PRO Advance)を標準搭載。X線の照射量を減らすと画質が低減するが、リアルタイムにノイズを低減し、低線量化での画像の視認性を向上させ、被ばく量は従来の半分以下(同社比)とした。

さらに、機器の効率的な運用のために、X線TVシステムのX線管(X線照射部)から検出器(X線受光部)の間を180㌢㍍まで引き伸ばせる機能を追加。これにより、胸部撮影に必要なX線照射距離を確保できるほか、車いすでの検査なども無理なく行え、同じポジションでのX線透視(動画像)による観察も可能にした。