乳児虐待撲滅めざし共同研究【常光、ダットジャパン、札幌市大、鳥取大】
AI技術で虐待予兆を早期察知
医療機器製造販売の常光(社長=服部健彦氏)と、ソフトウェア開発販売のダットジャパン(社長=犬丸澄夫氏)、札幌市立大学(学長=中島秀之氏)、鳥取大学(学長=中島廣光氏)の4者は、人工知能(AI)技術を用いて、乳児虐待(および虐待死)の発生する可能性を見つけ出す技術の共同研究を開始する。
現在、虐待が大きな社会問題になっており、特に、被害者が乳児の場合、最悪、死に至るケースもある。低出生体重児や重症な先天性疾患の乳児は、育てにくさから虐待発生の乳児側のリスク因子を有しているといえる。
共同研究では札幌市立大学の松浦和代看護学部長が取り組んでいる、虐待発生の予兆を早期に察知する能力を有するNICU・GCUや新生児室に勤務するエキスパート看護師の研究ネットワークを駆使したインタビュー記録や解析プロセスなどの研究シーズを、鳥取大学の村田真樹教授がAIを駆使した技術(村田AIエンジン=仮称)で、与えられた文章のテキスト群から自動的に重要情報を識別、整理していく。
具体的には①エキスパート看護師の臨床判断過程の明確化②乳児虐待の可能性を早期に察知する看護師の臨床判断力の段階化③予兆発見の暗黙知から形式知化--を行い、どのような場合に虐待が発生する可能性が高いか、虐待死に至る可能性が高いか、などを見い出していく。
同技術の統合とシステム化は、すでに村田AIエンジンの社会実証を実施しているダットジャパンが担い、常光が70年以上の医療機器などの開発・販売の経験を活かし、3年後の事業化をめざす。