脊柱管内浸潤疑いを可視化【キヤノンメディカルシステムズ、がん研】
国立がん研究センターと共同で開発
キヤノンメディカルシステムズ(社長=瀧口登志夫氏、栃木県大田原市)と国立がん研究センター中央病院(病院長=瀬戸泰之氏、東京都中央区)は、時系列のCT画像の差分から転移性脊椎腫瘍の脊柱管内浸潤の疑いがある領域の可視化を支援する技術を共同で開発した。
転移性脊椎腫瘍により腫瘍が脊柱管内に染み出るように広がる浸潤が起こると、脊髄が圧迫され手足の麻痺や排尿・排便に支障をきたす膀胱・直腸障害などを引き起こし、積極的ながん治療の継続が困難になる上に、QOLが大きく損なわれる。そのため、症状が無い、もしくは軽微な段階で脊柱管内浸潤を診断し、予防や治療を行うことが重要となる。
開発した技術は脊柱管内の差分を出力し、脊柱管内浸潤の疑いがある領域の可視化を支援することで、がん患者の治療の継続とQOLの維持につながることが期待できる。
今後、キヤノンメディカルシステムズは開発した技術の社会実装に向けて、同技術を搭載した製品の早期市場導入を目指す。
近年、治療の進歩により、多くのがんで進行を抑制し長期生存が得られるようになったが、肺がん、乳がん、前立腺がんなどは骨転移をきたしやすく、それ以外のがん患者でも長期の経過中に転移性骨腫瘍が発生しうるため、患者のQOLに大きく影響する転移性骨腫瘍への警戒が必要となっている。