極細径の「手術用綿棒」開発【大阪大と山洋】
世界で初めて直径3㎜の極細径化を実現
大阪大学国際医工情報センター次世代内視鏡治療学共同研究部門の中島清一特任教授らの研究グループは、綿棒メーカーの山洋(社長=中谷洋氏、大阪府富田林市)と共同で、直径3㍉㍍に極細径化した「手術用綿棒」を世界で初めて開発した。
手術用綿棒の極細径化は特に腹腔鏡手術でニーズが高く、極細径化により、低侵襲(傷跡がほぼ残らない)で、術中の視野を妨げず、細かい作業を愛護的に行える。
これまで手術用綿棒は、その製法上の制約から5㍉㍍の細径化が限界といわれてきた。5㍉㍍の従来品はコットン糸を巻いて作られているが、今回、開発した3㍉㍍の手術用綿棒は、山洋の独自技術であるコットンパウダーを軸に吹き付け、一定の型に立体造形するという綿棒製造製法で作られた。
この製法により、従来の限界を超えた細径化と、自由な形状(凸凹型)のデザインを可能にしたほか、微粒子数計測検査により、従来品の1000倍以上「コットンくず(溶出物)が少ない」ことが確認され、感染リスクの軽減が期待できる。
手術用綿棒は臓器の把持、挙上、組織の純的な剥離目的に、様々な外科手術の場面で使われている。一方で外科手術は腹腔鏡手術が主流になり、キズのサイズも数年前までは10㍉㍍径前後であったが、最近では5㍉㍍さらには3㍉㍍と、どんどん小さくなっている。
なお、今回の3㍉㍍径手術用綿棒の開発は中小企業庁の「平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金」の支援を得て、産学官連携で実施された。