医工連携

医師の臓器認識感度が向上【Jmees とがん研】

「内視鏡手術支援プログラム」承認取得

「内視鏡手術支援プログラムSurVis―Hys」を用いた手術のイメージ。左側のサブモニターに尿管が強調される

Jmees(社長=松崎博貴氏、千葉県柏市)と国立がん研究センター東病院が共同開発した「内視鏡手術支援プログラムSurVis―Hys(サービス・ヒス)」がプログラム医療機器として薬事承認された。同社は国立がん研究センター発ベンチャーで、同センター発ベンチャーによる医療機器の承認取得は2例目。

サービス・ヒスは内視鏡下(腹腔鏡下やロボット支援下)子宮全摘術の手術中に内視鏡画像中の尿管・膀胱部位をAIが検出し、候補領域として手術中に強調表示することで、医師が尿管・膀胱を認識することを支援するプログラム医療機器。

AIの教師データとして用いた腹腔鏡下子宮全摘術の映像データは、Jmeesと国立がん研究センター東病院が連携し、NEXT医療機器開発センターの支援を得て、40施設以上の全国の医療機関から収集し、婦人科専門医の監修のもと開発された。

また、薬事申請にともない実施した性能評価試験では、医師単独での認識感度と比較して、サービス・ヒスの併用による医師の認識感度の平均値は、尿管で14.6ポイント、膀胱で15.8ポイントとそれぞれ有意に上昇したことが確認された。

今後、両者は「サービス・ヒス」シリーズとして、婦人科以外の外科領域への適用範囲を広げるための開発や、有用性を証明するための臓器損傷リスクに関する臨床試験の実施を進めていく。

現在、子宮全摘術は患者への負担が少ない低侵襲の内視鏡下手術が支流となりつつあるが、内視鏡下による子宮全摘術は尿管や膀胱の損傷に起因する合併症のリスクが上がるとされ、医師が内視鏡映像中の尿管・膀胱を認識することが非常に重要となるため、認識感度の向上が課題となっている。