医工連携

「粒子線共同研究講座」設置【群馬大学、日立製作所】

放射線治療のさらなる効率化・高度化と普及めざす

群馬大学(学長=石崎泰樹氏、群馬県前橋市)と日立製作所(社長=小島啓二氏、東京都千代田区)は、粒子線を中心に放射線治療のさらなる効率化・高度化と普及を目指し、群馬大学重粒子線医学推進機構に共同研究講座「先端粒子線医科学共同研究講座」を設置した。今後、2年間にわたり共同研究を実施する。

共同研究では群馬大学の長年にわたる放射線腫瘍学・核医学領域での治療実績と臨床経験から得られたデータ・知見・ノウハウと、日立の放射線治療システムに関するプロダクト、オペレーション、ITなどの技術・知見を組み合わせ、これまで以上に高精度ながん治療を提供することで、がん患者のQOL向上を目指す。

また、共同研究では企業に在籍したまま研究機関での業務に従事することができるクロスアポイントメント制度を活用する。群馬大学と日立の研究者による医療現場での協創が可能となり、イノベーションを加速する効果が期待できる。

クロスアポイントメント制度を活用し、群馬大学の業務に従事する日立の研究者が、患者・腫瘍の状態に合わせて行うアダプティブ治療時の標準的なワークフロー構築実現に向けた課題を抽出し、解決策や治療システムへの適用に向けた検討を行う。

さらに、群馬大学の重粒子線(炭素線)治療の5000例を超える実績データを、日立のAIを用いて炭素線や炭素線以外の放射線の治療実績データを網羅的に解析することで、治療法と効果の新たな相関関係の発見や、QOLを含めた治療効果の向上に関係するつながりを見つけ出すための研究を行う。