心疾患の早期発見へ【富士通、東大病院】
心電図からAIで心臓異常を推定
富士通と東京大学医学部附属病院は心疾患の早期発見を目的に、心電図データから心臓の動きの異常を推定するAIを共同開発してきたが、その有効性を検証する臨床試験を東大病院で開始した。両者は2019年12月から東大病院を受診した患者の心電図検査のデータ約63万件と、心臓超音波検査(心エコー検査)のデータ約14万件を用いて独自AIの研究開発を進め、心臓の動きの異常を高い精度で検出することに成功した。
今回、開発したAIを使い東大病院でこれから心電図検査を受ける患者の心電図データをもとに、心臓の動きの異常の有無を推定させ、異常ありと推定された患者に心エコー検査を受けてもらい、AIの推定結果と比較して有効性を検証する。
心疾患は日本人の死因の第2位。心疾患の早期発見には心電図検査が広く用いられているが、心電図のみで心臓の形や動きの異常を捉えることは難しく、医師は患者の自覚症状をもとに医師が聴診器を使って心音の異常を検知した後、心エコー検査を行うことなどで検出している。
しかし、心エコー検査は専門医や臨床検査技師がいる限られた施設でしか行うことができないため、全ての患者に対して検査を行うことは難しい状況にある。このため、早期発見しにくく、発見した時にはすでに疾患が重症化しているケースもあり、医療現場では心疾患を早期に発見して適切な処置を行うことが課題になっている。