医工連携

「次世代画像診断機器」実用化へ【キヤノンメディカル】

がん研と共同研究スタート

キヤノンメディカルシステムズ(社長=瀧口登志夫氏、栃木県大田原市)は、国立がん研究センター(理事長=中釜斉氏、東京都中央区)と昨年締結した包括協定および共同研究基本契約に基づき、次世代画像診断機器として期待される「フォトンカウンティングCT」(PCCT)の日本初の実用化に向けた共同研究を開始した。

共同研究は国立がん研究センター先端医療開発センター(センター長=落合淳志氏、千葉県柏市)と同センター東病院(病院長=大津敦氏、千葉県柏市)で実施される。

PCCTは従来のX線CTに比べ、複数のエネルギー収集を可能とする次世代型検出器(フォトンカウンティング検出器)を搭載した画像診断装置。従来装置に比べ、複数の物資構成を特定することができ、定量性に優れた画像を提供し診断精度の向上が期待できる。また、高分解能化により臓器の病変部検出能が向上し、従来装置を超える被ばく線量低減も見込まれる。

両者はこれまでも高精細X線CTを共同開発、製品化してきた。今回の実用化研究を通じて、体内にある抗がん剤の定量精度向上や、治療効果判定への活用、腫瘍組織の悪性度評価、組織性状の違いの検出などを、薬剤や病理データとの比較も行いながら、新たな臨床価値の探求をめざす。

キヤノンはPCCTの研究開発において、これまで培ってきた大容量データや高分解能データの収集、転送、解析技術を結集して、グローバルR&D(リサーチ・アンド・デベロップメント=研究開発)体制で、次世代装置の実用化研究を加速させる。