医工連携

高齢者食事見守りシステム開発へ【タカノ】

岩手大、東京医歯大、長崎大と共同研究

医療福祉機器メーカーのタカノ(社長=鷹野準氏、長野県上伊那郡)は、岩手大学、東京医科歯科大学、長崎大学の3大学と共同研究契約を締結した。『咀嚼(そしゃく)』、『嚥下(えんげ)』、『呼吸』の協調に着目した「高齢者用食事見守りシステム」の開発を開始する。

開発するシステムは食事の妨げにならない耳装着型の小型、軽量ウェアラブルセンサを用いて、AIにより食事中の咀嚼、嚥下、呼吸の状態を見守り、安全・安心な食事の場を創生していく。

医療機関での特別な検査環境ではなく、自宅などでの普段の食事の様子から、高齢者の『健口状態』と『窒息・誤嚥リスク』を評価するシステムの実現をめざす。

共同研究では嚥下機能評価技術の開発を進めてきた岩手大学理工学部システム創成工学科の佐々木誠准教授らの研究グループが、AIを用いた咀嚼、嚥下、呼吸の協調を解析し、食事見守りアルゴリズムの開発を行う。東京医科歯科大学と長崎大学はウェアラブルセンサを用いた臨床評価を担い、タカノはウェアラブルデバイスの設計・試作を担当する。

なお、共同研究は公益財団法人JKAの研究補助を活用して実施される。

近年、誤嚥性肺炎や窒息によって亡くなる人が増加。これは食べ物をかむ力(咀嚼機能)や、食べ物を飲み込む力(嚥下機能)、さらには息を吸ったり吐いたりする力(呼吸機能)が加齢や疾患によって低下し、各機能の協調がうまく働かなくなることが大きな要因と考えられている。

医療現場ではマンパワー不足が慢性化し、各患者の食事の際に付きっきりで見守ることは不可能であり、誤嚥性肺炎の発症や窒息事故に発展するケースも少なくない。このことから、介護現場での食事動作の様子や変化を捉え、窒息、誤嚥を予防する新しい食事見守りシステムが求められている。