医工連携

近畿大学医学部と産学連携【島津製作所】

最新PET装置の臨床研究スタート

頭部・乳房用TOP-PET装置「頭部撮影モード」

島津製作所(社長=上田輝久氏、京都市中京区)は、開発したPET(陽電子断層撮影法)の「頭部・乳房用TOP―PET装置」を用いた臨床研究を近畿大学医学部と産学連携で開始した。認知症と乳がんの検査における国産PET装置の臨床的優位性を検証し、世界に発信していく。

臨床研究では近畿大学が培ってきた臨床経験を活かし、従来型のPET装置と、頭部・乳房用TOP―PET装置で得られるPET画像を比較し、同装置の臨床的優位性を評価していく。

従来型装置では得られなかった新たな情報が得られるか、どうかの検討や、同装置の物理評価、撮像手技・データ処理手法の検討を通して、PET検査の今後の可能性を探る。

頭部・乳房用TOP-PET装置「乳房撮影モード」

開発した頭部・乳房用TOP―PET装置はモードを切り替えることで、1台で頭部と乳房の両方を検査することができ、患者の負担を減らしながら、より正確ながんや認知症の検査を行うことができる。

30㌢㍍の開口径で従来の全身用PET装置と比べ、頭部や乳房の近接撮像が可能。検出器には「シリコンフォトマル」と呼ばれる半導体受光素子を採用し、新規設計の高速信号処理回路と組み合わせることで、感度と解像度を向上させた。

乳房用としてはマンモグラフィのように乳房を挟む必要がないため痛みがなく、乳房の立体的なPET画像を得ることができる。

そのほか、従来のPET装置ではCTなどの放射線を使用して減弱補正という画像補正を行っているが、同装置ではCTを用いずに画像作成が可能なので、補正のための追加の被ばくがないのも特徴となる。