医工連携

医工連携で手術ガイド支援システム開発

プロジェクションマッピングの技術応用

三鷹光器(社長=中村勝重氏、東京都三鷹市)と京都大学医学部附属病院(病院長=宮本享氏、京都市左京区)、パナソニック(社長=津賀一宏氏、大阪府門真市)は、プロジェクションマッピングの技術を応用し、臓器が動いたり変形したりしてもリアルタイムに追従して手術ガイドを行う、世界初の支援システム「Medical Imaging Projection System:MIPS(ミップス)」を開発し、製造販売承認を取得した。

MIPSを使用することで術者は、プロジェクションマッピングによる今までにない直観的なリアルタイムガイドと、状況に応じて自在に装置を的確に患部に向けることができるアームシステムを使い、迷わず正確に、より安全な手術が可能になる。

近年、インドシアニングリーンという蛍光薬剤を使用した蛍光ガイド手術により、血管や組織の血流評価、乳がんや悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の位置の同定を簡便に低侵襲に行うことができ、外科領域で臨床応用が広まっている。

しかし、蛍光ガイド手術は術者が近赤外蛍光画像を術野ではなく、外部モノター画面上でしか確認できないため、頻繁に術野から目を離しモニターを確認する必要があり、術中ガイド機器として正確性と操作性に課題があった。

MIPSはプロジェクションマッピング技術を用いて、近赤外蛍光観察で得た体組織の血流情報を直接臓器に投影することで、術者は患部に集中できる。

蛍光観察カメラとマッピング用のプロジェクターを同軸光路上に配置することで、患部観察情報と投影映像にズレ(+-2㍉㍍以下)が生じない仕組みを開発し、臓器の移動や体組織の変形にリアルタイム(0・2秒以内)に追従し、直視下での手術継続を実現した。

これらの効果によりMIPSは、手術の安全性の向上や、手術時間の短縮、出血量の減少、臓器機能の温存など手術の負担を減らすことが期待できる。

なお、MIPSは2015年度から17年度に日本医療研究開発機構(AMED)の医療分野研究成果展開事業産学連携医療イノベーション創出プログラムの支援を受け、開発された。