内視鏡手術の均質化へ【オリンパス】
「情報支援内視鏡手術システム」開発
オリンパス(社長=竹内康雄氏)は、内視鏡外科手術に関する熟練医師の暗黙知を人工知能(AI)解析によりデータ化し、内視鏡外科手術の均質化、安全性、効率化を支援する「情報支援内視鏡外科手術システム」を開発する。
情報支援内視鏡外科手術システムは、『判断支援』として、さまざまな種類の手術や医療チームのために作られた情報支援ソフトウエアライブラリを追加し、各手術の術者への情報提示や医療チームを支援する。
各手術の進行状況に応じて、AIなどにより最適化された解剖・脈管・腫瘍位置・ランドマーク・出血--などのリスク要因を表示し、術中の重要情報を医療チームで共有できる。
また、『視野操作支援』として、手術ごとの進行状況や術野画像の状況に合わせ、AIなどを活用して内視鏡を自律的に制御し、外科医が手術を進めやすい視野を確保する。
さらに、『処置具操作支援』として、それぞれの手術の進行状況や生体情報の種類、状態などの情報とともに、手術での処置の手段やアクセス方法に関する情報を収集・蓄積することで、処置具が対象の組織に与える力加減やエネルギーの出力などをAIにより最適化し、安全・スムーズな治療操作をサポートする。
同システムの開発は日本医療研究開発機構(AMED)の最長2023年度までの補助事業に採択されている。国立がん研究センター東病院、大分大学医学部、福岡工業大学情報工学部、東京大学大学院工学系研究科--との協業により開発を進め、24年度以降の実用化をめざす。
内視鏡外科手術は患者に負担が少ないため症例数が伸びている一方で、外科医不足に加え、高度な設備と医師や医療スタッフの高い技能が必要なことから、術者間や施設間の治療成績格差の解消が課題となっている。