「設立20周年記念式典」を挙行 ー 医器販協
式典には根本厚労大臣らがお祝いに駆けつける
日本医療機器販売業協会(会長=森清一氏、医器販協)は、1月16日㈬午後4時から、東京・丸の内の東京會舘で「設立20周年記念式典」を挙行後「平成31年新春賀詞交歓会」を開催した。当日は会員や来賓など関係者ら約770人が参加。記念式典には根本匠厚生労働大臣がお祝いに駆けつけ祝辞を述べたほか、日本医師会の今村聡副会長による記念講演会(これからの日本の医療の在り方と医療機器販売業の役割)が行われた。
設立20周年記念式典の開会にあたり、あいさつした森会長は「医器販協は医療機器販売業者唯一の全国組織として、平成10年11月に活動を開始。平成26年4月には一般社団法人化し、昨年11月に設立20周年を迎えた。設立当時は全国に販売業者が1600社以上あり、これらの多くの販売業者を1つにまとめるだけでも相当なエネルギーで、全国組織としの活動基盤を固めながら一致団結し、業界の考えを発信していった当時の役員の方々の苦労を考えると、誠に感謝に堪えない」と20年を回顧し、これまで医器販協の運営に携わった関係各位に感謝の気持ちを表した。
医機販売業者への理解度が促進
これまで医器販協が行ってきた活動の成果にふれては「最近の中医協などの議論をみると、内外価格差問題におけるわれわれ業界に対する誤解の是正、適正使用支援業務の重要性の理解促進、材料価格調査における業界負担への理解などの点で着実に成果が上がっていると思う。例えば昨年の中医協では、今年10月に予定されている消費税率の見直しに関して、当初は材料価格調査の結果を反映させた改定を4月に行い、さらに消費税率の引き上げ分を考慮した改定を10月に行ってはどうか、という話もあったが、価格交渉を行いながら調査に協力することの負担の大きさを医療界も含めて産業界全体の問題として主張した結果、今年の消費税率変更のための特例的な改定は10月の改定1回で収束する方向となった」と医療機器販売業者に対する理解度が深まってきたことを説明した。
医療機器の適正使用支援業務に言及しては「適正使用支援業務は医療機関の幅広いニーズへの対応から生まれたものと理解している。これまで会員の皆さまが適正使用支援業務などを通じ医療を支えるインフラ機能を果たしてきたが、患者1人ひとりの治療に貢献することは、社会の構成単位である個人の健康に寄与するものであり、その積み重ねが最終的に社会を支える役割をも果たしているのではないでしょうか。一方、社会構造の変革期である現在にあって、変わることなく継続していくことは何かしっかり考察したうえで、将来に託すメッセージを発信することも設立20年の節目となる、われわれの重要な責務と考えている」と語った。
流通の効率化にIoT等活用へ
今後の課題となる『効率化』に関しては「効率化への検討は業界内でも加速しなければならない。検討にあたっては、単なる経費節減の追求だけに終わらせることなく、医療の安心、安全を担保することにも留意しなければならない。まずは日々の受発注業務など身近な問題から検討を始め、IoTを含めた情報通信技術の利活用により、人手に頼ることなく精度や質の高いサービスの提供が可能な効率化策が提案できれば業界の発展に貢献できると考えている」との方向性を説いた。
災害時の医療機器の安定供給については「医器販協の20年の歩みの中で、象徴的な出来事として大規模災害発生時の対応がある。私自身、会長就任の翌年、平成28年4月に熊本大震災に遭遇したが、平成23年3月に発生した東日本大震災の対応の際に立ち上げた『日本医療機器販売業協会大震災対策プロジェクト』の経験や、その後に整備した『大災害時の対応マニュアル』を基に全国組織としてのメリットを生かし、災害時における医療機器・機材の安定供給という使命を着実に果たすことができた」とその成果を解説した。
さらに、「災害発生時の特殊な状況下では、会員の皆さまをはじめ多くの方々のお力をお借りして直面する緊急事態を一致団結して乗り切ることの重要性を痛切に感じとともに、医器販協の役割りが一層重要になることを再認識した。訓練の検討なども含めた日頃の対応の見直しはこれからも必要な課題と考えている」とした。
次いで、来賓を代表して根本匠厚生労働大臣や経済産業省商務・サービスグループの藤木俊光商務・サービス審議官、日本医師会の横倉義武会長(代読)が祝辞を述べた。
災害時の迅速な安定供給に感謝
このうち、根本厚生労働大臣は「貴協会は平成10年にわが国唯一の医療機器販売業者の団体として発足され、国民の健康福祉の増進に向け医療機器流通業界の発展と、協会の地位向上をめざして活動してこられた。また、災害時においても医療機器の迅速かつ安定的な供給を通じ、国民の生命と健康を守る日本の医療を支えていることに厚くお礼申し上げる。昨年6月の大阪府北部地震、7月の西日本豪雨、9月の北海道胆振北部地震などの災害時にも医療機器の安定供給にご尽力いただいたと聞いている。改めて医療機器の安定供給にかける皆さまの使命感を強く感じている」と医療機器の安定供給を通じて国民の健康福祉の増進に貢献していることを称えた。
医療機器の適正使用支援業務にふれては「医療機器販売業者は医療機関に医療機器を迅速かつ安定的に供給するだけでなく、医療機器の保守点検や手術、検査などに関連した技術的支援などの適正使用支援業務を担っている。適正使用支援業務を通じて医療機関の幅広いニーズに応え、わが国の医療制度を支えている。今後も医療提供体制の一翼を担い、国民の健康福祉の増進にご尽力いただくことを期待している」と医器販協の一層の発展を祈念した。
医療機器販売業者の方向性示す
このあと、記念講演会が行われ、日本医師会の今村聡副会長が『これからの日本の医療の在り方と医療機器販売業の役割』をテーマに講演した。
講演で今村副会長は医療機器・材料の流通に求めることとして、①透明性のある価格交渉②きめ細かく速やかな配送(救急、災害、少量取引)③医療機関への納品時の管理(バーコードの活用、製品情報の提供)④適正使用の情報提供、支援--の4点を挙げ、さらなる医療機器の迅速かつ安定供給の推進に期待した。
引き続き、平成31年新春賀詞交歓会は、全国から多くの医療機器販売業者らが参集し、熱気にあふれる中、日本医療機器産業連合会の渡部眞也会長の〝乾杯〟の発声で開宴した。会場では参加者らが新年の賀詞を交わしながら、情報交換と親ぼくを深め合った。