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「創立25周年講演会」開催 ー 先端医療研

四半世紀を経てさらなる発展へ

「創立25周年記念講演会」会場の模様

医療福祉関連の研究や、技術・情報を交換し交流することを目的に各種活動を展開する先端医療福祉開発研究会(会長=広畑泰久氏、先端医療研)は、1993年の創立以来、今年で25周年を迎えたことを記念して、7月21日㈯午後1時から、アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)で「記念講演会」を開催した。引き続き、25周年を記念して刊行した書籍(NPOから医療・福祉・医工学への提言)の「出版記念パーティー」を挙行した。

創立9年目にNPO法人化で組織を強化

広畑会長

開会にあたり、あいさつした広畑会長は「25周年は四半世紀の1つの区切りとなる。振り返ってみると設立総会は先端医療技術開発研究会という名称で、1993年7月に日本医科大学の臨床講堂で開催した。その後、03年にはNPO法人格を取得し、名称も『NPO法人先端医療福祉開発研究会』に改称し、現在に至っている。これまで、多くの方のご支援、ご協力により、25周年を迎えることができた」と25年の歴史に思いを馳せ、先端医療研の運営に関わった関係各位に感謝の意を表明した。

NPO法人化により組織を強化したことに言及しては「単なる任意団体ではなく、NPO法人ですと信用度も付くが、それにともなう責任も発生する。NPO法人化した当初は公的助成金を受ける際に、当会に助成金を受け入れるキャパシティがあるのか、どうか、大きな問題になった。しかし、その問題を乗り切り、その後は何件かの公的助成金を受け、研究開発事業にも取り組んできた。今後も『ワンフォーオールオールフォーワン』の精神で会の運営、活動を継続していきたい。そして50年、100年と会が発展していくことを祈念する」とさらなる飛躍に向け、支援と協力を呼びかけた。

このあと、記念講演会では獨協医科大学病院感染制御センターの奥住捷子氏が『多剤耐性菌の現状と将来問題』、雅すこやかサポート協会の井上雅祥氏が『介護保険制度の改定と将来問題~高齢者介護を含めて』、日本環境保健機構の高尾和宏氏が『25年前のアレルギー問題と現在の解決すべき将来問題』を、それぞれテーマに、各専門領域における課題や現状、方向性などを解説した。

短期・長期の産学共同研究も推進

朝倉名誉会長

次いで、先端医療研の朝倉健太郎名誉会長が登壇し、『創立25周年のあゆみ』と題し、講演を行った。

朝倉名誉会長は「先端医療研は医療、福祉などのあり方を研究し、その周辺のトータルな技術、情報などを交換し交流することを目的としている。大学や企業などの研究体制の異なる研究者と技術者間の異業種交流会で、私はこの異業種間の交流を『アカデミカルボランティア』と呼んでいる。積極的な交流を図り、短期(1~2年)と長期(5~6年)の産学協同研究を進めてきた。一方では業界紙・保健産業事報のコラム欄(ホッ‼と ひと息 ティータイム)に、公開定例会の各講師の講演内容の要約などを投稿・掲載してきた」と先端医療研の設立目的や、これまでの活動内容を回顧した。

公開定例会に関しては「設立以来、公開定例会を年に4~6回行い、これまでに計158回開催してきた。毎回、3、4名の方に講演していただいており、講演数は550回を超えている。講演内容は医学やアルツハイマー、リハビリテーション、介護福祉関係、東洋医学、医療材料、感染症、先端医療機器――など多岐にわたっている」と医療福祉関連の技術や情報を会員間で共有、活用しながら交流してきたことを報告した。

公的助成金を受け、取り組んできた研究開発事業にふれては「中村裕記念身障者福祉財団と社会福祉・医療事業団からの助成金で『身障者用スキューバダイビングリフト』の開発や、東京都中小企業公社からの助成金で『次世代ウルトラミクロトーム』の開発、NEDOからの助成金で『軽量型高齢者徘徊センサー』の開発――などに取り組んできた。そのほかにも『チタン気管カニューレ』や『折れない治療針』、『軽量ベッド』、『リサイクルおむつ』――などの開発にも着手してきた」と数々の研究開発事業を推進してきたことを紹介。今後は次代を担う若手が研究開発事業を発展的に継承し、拡大させていくことに期待した。

記念講演会終了後は出版記念パーティーが催された。会場では参加者らが、グラスを傾け和やかに歓談した。それぞれに記念書籍の出版を喜び、先端医療研の25年の歩みを振り返りながら、一層の発展を誓い合った。

なお、先端医療研はこれまでにも記念書籍として、『未来医療への道標(3周年記念)』と『未来医療への道標(10周年記念)』、『小さな努力の積み重ねでNPOは生きている(15周年記念)』、『医療・福祉・医工学の歩み(20周年記念)』――を発刊しており、今回の25周年記念書籍で5冊目となる。