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中期経営計画の達成状況を発表【医療機器センター】

菊地理事長や中野専務理事らが「記者会見」開く

会見を行う(左から)新見常務理事、菊地理事長、中野専務理事、林事務局長

医療機器センター(理事長=菊地眞氏)は7月26日㈭午後3時30分から、移転した新事務所(東京都文京区本郷1―28―34 本郷MKビル2階)で本郷記者会との「定例会見」を開催した。会見には菊地理事長や中野壮陛専務理事、新見裕一常務理事、林茂事務局長らが出席し、3年前の設立30周年時に立案した『中期経営計画』の達成状況などを発表した。

新事務所で各種事業を充実、強化

会見で菊池理事長は「当センターは3年前に設立30周年を迎えたが、その時に5年間の中期経営計画を策定した。今年度は中期経営計画の3年目の折り返し地点にあたる。中期経営計画ではこれまでの事業を継承しながら、かつ時代の要請に応じ、日本の医療機器の振興をより高めるため、新しい事業にも取り組んでいる」と中期経営計画を着実に推進していることを明かした。

事務所を移転したことにふれては「中期経営計画を実現するため、職員間のコミュニケーション向上や、業務の効率化、お客さまとの相談・打ち合わせスペース拡充を目的に、事務所移転を計画し、7月9日に新事務所に移転した。物件探しに苦労したが、前事務所と同じ本郷の地に新事務所を構えることができ安堵している」と述べ、新事務所移転を機にさらなる発展を祈念した。

新しい事業については「就活生向け医療機器産業の情報サイト『医機なび』を6月に開設した。医療機器産業を基幹産業の1つにしよう、という政府の方向もあり、優秀な人材を集めるため、就活生向けに医療機器産業全体の魅力を正確に伝えていく。これは1企業ではできないことなので、業界企業からは好評を得ている。また、日本医療研究開発機構(AMED)の『若手研究者向け医療機器事業化サポート機関』として当センターが採択(7月13日付け)された。医療機器を開発してもなかなか上市できない現状や、産業側に市場を熟知した開発者が育っていないなどの課題もあることから、開発から上市までの知識やノウハウの習得を目的に、若手研究者の人材育成を行っていく」と説明した。

信頼される中立機関として事業展開

このあと、中野専務理事は中期経営計画の骨子として、①信頼される中立的機関②事業化支援③シンクタンク④教育・人材育成⑤情報提供・パブリシティ――の5つの柱を列挙し、各柱の達成状況を解説した。

①の信頼される中立的機関では「当センターは信頼される中立的機関であることがベースとなり、公共性の高い事業を関係団体と実施するとともに、国際交流活動を強化してきた」と報告した。

具体的な達成事項としては同センターが事務局となり、産学官臨の協力のもと▽医療ガス設備の安全管理通知▽治験ガイダンス▽CT/MRIの保守点検指針▽サイバーセキュリティガイダンス――などの行政通知を作成したほか、日本医療機器工業会と共同で『第3回治療機器・施設関連機器に関する安全管理実態アンケート調査』を実施。国際交流活動では米国のAdvaMedやAAMIの主催のカンファレンスに研究員を派遣し、情報収集と交流を図ってきた。

事業化支援事業など活発に

②の事業化支援では「身近な存在として、開発から医療機器規制、保険適用までを含めた具体的な事業化支援のための広範な相談事業を実施している。相談実績は平成28年度が131件、平成29年度が136件で、相談内容は研究開発マネジメントや事業戦略、薬事申請、業態・業許可、保険適用、市場動向――など。一方、認証事業ではやさしく、ていねいな対応による短期間での認証取得をめざし、無料面談・企業訪問や、無料説明会を実施した。認証実績は平成
28年度が41件、平成29年度が43件となる」と説明した。

③のシンクタンク事業については「これまで当センターでは附属の医療機器産業研究所でリサーチペーパーを作成してきたが、今後は大学・研究機関の研究者からも社会科学系研究手法による医療機器産業を活性化させるための提言や、社会科学系研究者の育成を含めた裾野の拡大を目的に『公募型リサーチペーパー』の募集を開始した。募集テーマは医療機器産業の振興に寄与する経済学、経営学、法学、レギュラとリーサイエンス――など。助成金は1件あたり50万円で、平成29年度に採択した4件は8月下旬に公開する予定だ」と語った。

また、新設の医療機器・社会経済研究会に関しては「今後ますます重要な役割を担う医療機器やICT技術について、社会経済面からの実証実験を推進するため、研究者間の交流の場として、医療機器・社会経済研究会を設置した。特に若手研究者が医療機器について学び、医療機器に関する実証実験を行うことを支援している。同研究会は2か月に1回開催しており、1回あたり約20名が参加している」とした。

公募型リサーチペーパーと医療機器・社会経済研究会の活動は車の両輪で、相乗効果により若手研究者の育成が強化されることで、政策提言活動も充実してくることが期待される。

④の教育・人材育成事業では、平成28年度からスタートした人材育成のための教育シリーズ『JAAMEAcademy』に言及。「医療機器産業における初任者研修や開発人材育成、コーディネータ養成、中小医療機関向け医療安全人材育成のための研修事業などを実施していく」とし、平成31年の1月に東京で『医療機器の開発実務者育成セミナー』、同2月に東京と大阪で『医療機器品質管理監督システム(QMS)入門講座』を開講すると予告した。

⑤の情報提供・パブリシティでは、6月に開設した就活生向け医療機器産業の情報サイト『医機なび』に関して「コンテンツとしては▽医療機器って何?(医療機器の種類)▽業界を知ろう!(医療機器業界の特徴・仕事)▽教えて先輩!(各企業の若手社員へのインタビュー)▽トピックス――などで構成されている。今後は医療機器団体の協力を得ながら長期的に発展させていきたい」と説いた。

若手研究者を育て開発支援

一方、AMEDの『若手研究者向け医療機器事業化サポート機関』に採択されたことについては「AMEDが採用する5名ほどの若手研究者の医療機器の開発をサポートしていく。具体的には(1)座学講義(基礎コース)(2)座学講義(実践コース)(3)ケースメソッド授業+実際の相談への同席(4)開発研究計画の評価とアドバイス(個別)(5)外部組織(JOMDD)による客観的評価――を行っていく」と明かした。