神奈川県・みなとみらいのパシフィコ横浜で「第92回日本医療機器学会大会」を開催
日本医療機器学会(東京都文京区)は6月29日(木)から7月1日(土)の3日間を会期に、神奈川県・みなとみらいのパシフィコ横浜で「第92回日本医療機器学会大会」(大会長=加納隆・滋慶医療科学大学院大学教授)を開催した。今大会は『新たな医療技術との出会いを求めて』をメインテーマに、シンポジウムや講演会など多彩なプログラムが展開され、期間中、学会員ら約2100人が聴講に訪れた。また、大会併設の『メディカルショージャパン&ビジネスエキスポ2017』には3日間で約1400人が来場し、にぎわいをみせた。
大会第1日目の6月29日にはマネジメントシンポジウムや同セミナー、実践ME技術講習会が開催され、同学会が認定している臨床ME専門認定士、滅菌技師・士、MDIC(医療機器情報コミュニケータ)などが会場を訪れ、熱心に各講師の話に耳を傾けていた。
2日目の6月30日に学術大会が本格的にスタート。午前8時55分に『開会の辞』に立った加納大会長は「今大会の開催に向け、昨年8月からプログラム委員会を開始し、30名近くの委員の方々と一緒に色々な企画を行い、素晴らしいプログラムができた。一般演題の方も150題の応募あり、皆さま方の積極的な参加をありがたく思っている」とし、大会に関わった関係者に感謝の意を表明した。
大会メインテーマ『新たな医療技術との出会いを求めて』に言及しては「副題として『産学連携による製品化への道』を掲げている。当学会の大きな柱の1つに、産学連携がある。産学連携で色々なアイデアを出し、医療機器を一緒に開発していければと考えている。そのために今大会に参加することで、産学連携に向けた良い出会いをしていただければと切に願う」と述べ、開会のあいさつとした。
このあと、大会では2日間にわたり、4つの会場を使い、シンポジウム7題、大会長講演、特別講演2題、教育講演2題、ランチョンセミナー4題、一般演題139題-などのプログラムを展開した。
今大会では、医療機器の最新課題である医療機器ソフトウェアや単回使用医療機器(SUD)を題材にした内容をはじめ、医療安全に向けた内視鏡手術関連機器の安全管理や洗浄・消毒・滅菌の外部委託、熊本地震を経験しての災害対策、トレーサビリティにUDI活用-などがテーマに取り上げられ、参加者間でテーマごとに、課題への対策や今後の方向性について討議を繰り広げた。
一方、大会併設の医療機器展示会「メディカルショージャパン&ビジネスエキスポ2017」の開会式は6月29日午後12時50分から、パシフィコ横浜の展示ホール前で行われた。
冒頭、加納大会長は「今回はテーマ展示として、オールジャパンによる手術室・ICU機器の共同展示を行う。通常の展示と違い、手術室、ICUで使用されている医療機器を一堂に集め、実際にどのように使われているか、また機器間の相互の関係を見ていただけるようになっている。今後は手術室、ICUで使われている医療機器、医療技術を1つのパッケージとして海外にも発信していければと考えている」との思いを明かしたあと、「展示会が皆さまにとって、新たな医療技術や人とのいい出会いの場になれば幸いです」とあいさつした。
このあと、加納大会長と安原洋理事長、根本裕司事業体部会長の3人がテープカットを行い、メディカルショージャパンは開幕した。会場には医療機器企業53社、3団体、1県が出展。施設用機器や治療用機器、手術用機器、鋼製小物、眼科用品、衛生材料、医療情報機器、保守管理用機器、病院設備機器--など各社自慢の最新医療機器を展示した。
テーマ展示の『オールジャパンによる手術室・ICU機器の共同展示』では手術室・ICUという急性期医療の現場で、日本の医療技術を支える優れた医療機器をオールジャパンという切り口で、多くの日本企業の製品を展示した。来場者らは国産医療機器の品質や機能性の高さを再確認しながら興味深く見学していた。
なお、テーマ展示は日本医療機器工業会との共催展示で、今後も両団体は連携しながら、多種多様な展示スタイルを模索し、メディカルショーの活性化に向けた活動を行っていく。
また、医療機器産業への参入をめざす、ものづくり企業の展示会『医療用機能・要素部品パビリオン』(2面に掲載)には、東北地方をはじめ、静岡県や群馬県、新潟県、東京都から、ものづくり企業35社が出展した。出展各社は医療機器に活用可能な要素部品や技術力を来場者にPRした。
そのほか、恒例の日本医科器械資料保存協会による特別展示『医療機器歴史資料展』には印西市立印旛医科器械歴史資料館の歴史的に貴重な医科器械数十点が展示され、来場者の注目を集めていた。