今年も6つの活動を継続強化【AMDD】
加藤会長らが「年頭記者会見」を開催
米国医療機器・IVD工業会(会長=加藤幸輔氏、AMDD)は、1月15日㈪午前10時から、東京・内幸町の帝国ホテルで「2018年年頭記者会見」を開催した。会見では加藤会長が昨年の活動報告をふまえ、今年の展望を発表したほか、昨年10月に機構内に新設した『医療技術政策研究所』(MIPI)の田村誠所長が同研究所の活動状況を説明した。
バリューベース・ヘルスケアを提言
会見で加藤会長は昨年のAMDDの取り組みとして、①イノベーション評価のための材料価格制度の抜本改革『バリューベース・ヘルスケア』提言②費用対効果評価本格導入に向けた提言③医療技術政策研究所の設立④さらなる審査迅速化のための連携と協働⑤医療機器の価値の発信⑥CSR活動――の6つの活動を列挙した。
日本の医療機器産業に山積する課題については、イノベーションの振興と患者アクセスの阻害要因として『医療経済性の評価の仕組みがない』、『上市時以外にイノベーションを評価するタイミングがない』、『イノベーションを加味しない一律な価格引き下げ圧力』――の3つの課題を示した。
これに関して、加藤会長は医療経済性の評価について「医療機器の医療経済性への貢献が十分に認められていない。現状のHTA試行へ価格をさげる方向で議論されている」、イノベーションの評価について「大抵の場合、医療機器は上市時に十分な臨床データを収集することは不可能。イノベーション評価はハードルが高い」、一律な価格引き下げについて「財政的圧力が増大しているほか、相対的に価格の高い特定保険医療材料を対象とした価格引き下げが行われている」――とそれぞれ詳細を解説した。
上市後C1・C2申請制度が創設へ
課題を踏まえ、AMDDでは『イノベーション振興と患者の医療アクセスの確保』と『医療・介護財政の健全化』の両立に向け、⑴経済性評価を第4の補正加算要件として導入⑵新規性先行評価制度の創設⑶上市後C1・C2(再)申請制度の創設⑷技術料包括対象医療機器の範囲拡大⑸バリューの高い技術には異なる倍率上限を用いるなど再算定制度の柔軟な運用――の5つの提言を行った。
提言について、加藤会長は「5つの提言のうち、上市後C1・C2(再)申請制度が創設される。新規収載時に十分に評価できなかったものについて、その新規機能について上市後に再申請できる。実際の評価実例もなく、詳細なルール決めはこれからだが、C1とC2の使用実績に基づいた評価が行われる」と報告した。
今年の活動方針に言及しては「診療報酬改定やデバイスラグ・開発ラグ、医薬品医療機器等法の改正(2019年)などの課題に対応するため、昨年から取り組んでいる6つの活動を強化しながら継続していく。そして、医療費削減の必要性と医療ニーズの増加にともない、患者のために『価値のある』医療が求められる最新の医療技術や医療機器へのアクセスを確保しつつ、サステイナブル(持続可能)な社会保障の実現をめざしていく」と表明した。
医療技術政策研究所で諸課題を検討
一方、医療技術政策研究所の田村所長は、同研究所を設立した目的について「当研究所はイノベーション評価と医療費の適切な配分の実現をめざし、医療機器・IVDを含む医療技術が、日本の医療により貢献できる方向を中長期的な視点で研究し、政策提言していくことを使命としている。主な活動としては医療機器センター医療機器産業研究所と連携しながら『医療機器・IVDに関わる諸研究の実施・推進』と『医療機器・IVDの開発・製品等に関わる特性の理解浸透』の2つの活動を中心に取り組んでいる」と述べた。
また、バリューベース・ヘルスケアについては「バリューベース・ヘルスケアには『技術』、『システム』、『個人の価値観を考慮』の3つのレベルがあり、技術レベルでは個々の医療技術の価値(効率性)を評価し、保険収載の可否や償還価格に反映させていく。システムレベルでは保険償還や医療提供体制などのシステム・仕組み(償還方法など)の価値(効率性)向上をめざす。個人の価値観を考慮では患者や家族の価値観に基づいて臨床現場での意思決定を行っていくことをめざしていく」とのコンセプトを解説した。