「設立40周年記念式典」開催【医療機器センター】
今後も医療機器産業の発展に向け活動

医療機器センター(理事長=菊地眞氏、東京都文京区)は、1985年6月に医療機器に関するわが国唯一の中立的な機関として設立以来、今年で40周年を迎えたことを記念して7月30日㈬午後4時から、東京・丸の内のパレスホテル東京で、行政をはじめ医療界、産業界の代表者ら約400名が参集し「設立40周年記念式典・祝賀会」を開催した。参加者らは医療機器センターのこれまでの医療機器業界への功績をたたえるとともに、今後も医療機器業界の羅針盤としての活動に期待を寄せた。

「記念式典」の開式にあたり、式辞に立った菊地理事長は「1985年の設立以来、当センターの活動を温かくご支援いただいた皆さまには心よりお礼を申し上げる。本日、ご出席いただいた衆議院議員・上川陽子先生が会長を務めている『優れた医療機器を世界に迅速かつ安全に届けるための議員連盟』による大きな後押しもあって、医療機器産業は、これまでになく発展してきたと実感している」と述べ参集者に感謝の意を表明した。
また「当センターでは企業、研究者、医療者、患者、行政が、お互いの立場を信頼する気持ちが明日の医療を育てていく原動力となると考えている。これにともない当センターでは医療機器のライフサイクルに応じた7つの事業を実施してきた。各事業では産・学・官・臨のステークホルダーをつなぐハブ機能を担い、課題解決に取り組んできた。特にこの10年は、職員の専門能力提供に注力して、より質の高いサービスの提供を実現してきた」とし、同センターが取り組んできた事業として、▽研究助成▽事業化相談▽臨床事業▽教育研修▽就活生に医療機器産業の就職情報を届ける「医機なび」――など40年間にわたり活動してきた実績を紹介した。
次年度から実施する第3期中期経営計画にふれては、3つの重点分野として、①認証審査のスピード・コストの最適化②「医機なび」の強化③医療機器業界の戦略的広報活動――を列挙した。
3つの重点分野の内容に関しては「1つ目の認証審査では、最速・丁寧(ていねい)な審査を行い、インフレ下でも産業界の皆さまが安心、迅速に製品を市場投入できる環境を整備していく。2つ目の『医機なび』の強化では、企業と就活生のより良い未来を後押しして、企業の採用計画100%達成を支援していく。3つ目の医療機器業界の戦略的広報活動では皆さまと協力して、新たな広報宣伝を展開していく。医療機器業界と製品イメージを一層押し上げ、子供たちが、あこがれるような業界へと刷新していく。社会全体からの理解を深め、未来を担う人材にポジティブな印象を届けていく。これにより産業活動も一層活性化し、より良い人材を確保することで、開発力向上へと繋げていきたい」と今後の方向性を説明した。
このあと、上川陽子衆議院議員、日本生体医工学会の芦原貴司副理事長、日本医療機器学会の根本裕司副理事長が、それぞれの立場で祝詞を述べた。次いで40周年にあたり、功労者6氏に対し表彰状、記念品が贈られ記念式典は閉会した。
医療機器の未来像で「パネルトーク」

引き続き、「記念講演会」では国際医療福祉大学循環器内科学の田村雄一教授が登壇した。講演会では同センターが同日に公表した2050年の医療技術の未来図を提示する「医療技術フォーサイト2050」について、フォーサイトをまとめたワーキンググループのリーダーでもある田村教授が「医療技術フォーサイト2050~若手医師らによるロードマップ策定プロジェクト~」をテーマに講演した。
田村教授は「医療技術フォーサイト2050は2050年という長期的な時間軸のもと、医療技術の未来像を構想するための視座を提示することを目的に作成した。そのため社会構造や人口動態、知識体系の進化といった、より普遍的かつ構造的な変化に焦点を当てている。これにより多様な国や地域においても共有可能な視点や問いを描き出すことを重視した」と語った。
次いで、田村教授を座長に、医療技術フォーサイト2050の策定メンバーであるデジタルハリウッド大学大学院の加藤浩晃特任教授と、順天堂大学大学院健康データサイエンス研究科の隈丸加奈子教授、国立循環器病研究センター研究所循環動態制御部の朔啓太室長、TPX Medicalの園生智弘代表取締役、昭和大学横浜市北部病院消化器センターの三澤将史講師、東京慈恵会医科大学脳神経外科の森田康平訪問研究員の6人がパネラーとなり「パネルトーク」が行われ、討論を繰り広げた。
医療技術フォーサイト2050は未来を形づくる変化としての『6つのファクター』や、医療の未来像としての『3つのビジョン』、技術の方向性としての『6つのアクション』が骨子となり、そこから2050年を展望するフレームワークの構築を行い、▽循環器内科▽循環生理▽脳神経外科▽救急▽消化器内科▽眼科▽画像診断――など各領域について、2050年の状況や求められる医療技術などを導き出している。
パネラーらは医療技術フォーサイト2050の作成にあたり、ワーキンググループでの検討経緯や苦労した点などについて報告したあと、それぞれの専門疾患領域や立場から、2050年に向けた医療技術の姿や在り方について活発で有意義な討議を展開した。
祝賀会に関係者約500名参集

パネルトーク終了後は「記念祝賀会」が催され、来賓の福岡資麿厚生労働大臣や、経済産業省の加藤明良大臣政務官、日本医師会の松本吉郎会長、日本医療機器産業連合会の山本章雄会長らが顔をみせ、関係者ら約500名が会場を埋め、にぎやかに40周年を祝福し合った。
主催側のあいさつのあと、来賓の祝詞、山本医機連会長の〝乾杯〟の発声で、記念祝賀会は開宴した。
歓談中には、医療機器センター職員への表彰が行われ、永年の勤務により同センターの発展に貢献した5名の職員らが晴れて表彰された。
職員表彰(敬称略)
【特別表彰】
▽鳥居 賢治
【永年勤続】
▽恩田 照秋
▽堀内 暁
▽坂本 真理
▽岩佐 渚