画像医療システムの導入状況を調査【JIRA】
医用画像装置の買い替え年数の延びが固定化
日本画像医療システム工業会(会長=瀧口登志夫氏、東京都中央区、JIRA)は、2024年11月~12月にかけて実施した「第22回(24年度)画像医療システム等の導入状況と安全確認状況に関する調査」の結果を公開した。調査結果によると医用画像機器の平均買い替え年数の大幅な延びの固定化が顕著にみられた。
同調査は全国の医療施設を99床以下、100床~299床、300床~499床、500床以上の4つの病床群に分類し、その中から無作為に抽出した1,000施設の放射線部門技師長宛にアンケート用紙を郵送し、郵送調査票あるいはWebアンケート画面のいずれかで締切日までに回答した有効回答数394施設(回収率39%)から得られた回答を集計・分析した。同調査は37年前の1988年から継続的に実施している。
調査結果によると平均買い替え年数は▽X線CT装置▽血管撮影用X線装置▽MRI装置▽核医学装置(SPECT装置)▽放射線治療装置▽超音波装置▽CR画像処理装置――の代表的7機種の「平均使用期間」は08年の第7回調査から16回連続して11年を超えている。16年度からは12年を超え、その後も高止まり傾向を続け、長期使用が固定化され、日常の安全点検と定期的な保守管理が、より重要度を増す状況となっている。
装置の稼働年数別台数に関しては、有効調査対象44機種の実際の使用期間を▽1~5年▽6~10年▽11年以上――の3区分で調査。最長の使用期間「11年以上」をみると44機種中7機種(16%)の装置が50%以上あり、16機種(36%)の装置が40%以上と長期使用の状況であるとの回答が寄せられた。
また、「6~10年」と「11年以上」の合計が50%以上の機種は44機種中43機種(98%)と大多数を占め、平均買い替え年数の長期化を裏付ける結果となった。
医療機器の保守点検実施率が減少
保守点検の実施状況に関しては、メーカーとの「保守契約」と「都度メーカーを呼んで点検」、「院内で保守点検」の3項目を合計した保守点検実施率を調査した。その結果、▽一般X線撮影装置▽血管撮影用X線装置▽核医学装置(SPECT)▽超音波装置▽CR画像処理装置――の5機種は前回より減少した。
保守点検計画の添付が義務付けられたMRI装置(1.5T以上)の保守点検実施率は98.8%に対し、義務付けられなかったMRI装置(1.5T未満)は87.9%に留まっている。
X線CT装置(4列未満シングルを含む)は、17年調査から十分な回答数が得られなくなり、今回からX線CT装置に集約したため参考値となるが保守点検実施率は97.6%という結果だった。
全ての医療機器の保守管理の実施が義務化された07年の改正医療法の施行から17年半を経過した調査にもかかわらず、院内での保守点検を含む保守点検実施対応が十分に進んでいない状況が明らかになった。
「医療機器安全管理責任者」の設置状況については、全体の90%以上の施設が設置し改善がみられるものの、病床規模や設置主体で差がみられた。また、医療機器安全管理責任者の職種は診療放射線技師、臨床工学技士、医師の3職種で約90%以上を占めた。
「医療機器保守点検計画の策定」状況に対する回答では「策定している」と回答した施設が95.4%と前回の調査から1.9ポイント改善された。
今回の調査結果を踏まえ、JIRAでは厚生労働省をはじめ関係行政機関への保守点検実施に対する診療報酬上でのインセンティブ設定などを医療関係団体と連携して今後も継続して要望していく。