2025年度活動方針を発表【JIRA】
産業ビジョンに対応して事業展開

日本画像医療システム工業会(会長=瀧口登志夫氏、東京都中央区、JIRA)は「2025国際医用画像総合展」の開催初日の4月11日㈮午前11時から、展示会場のパシフィコ横浜内で「記者会見」を開き、瀧口会長が25年度のJIRA活動基本方針を中心に、医療を取り巻く環境の変化や、JIRA関連産業の課題について発表した。
医機産業を取り巻く環境変化を憂慮
会見で瀧口会長は医療機器産業を取り巻く環境の変化について「昨今の世界情勢や社会、経済状況の変化は医療の世界にも大きく影響している」と述べ、その例として▽世界市場の継続的拡大と国内市場の成長率の純化▽国・地域における各種リスクの変化▽消費者物価指数や労働者賃金の上昇、為替の変動などの経済状況の変化▽医療機関の経営環境の悪化――を挙げた。
25年度活動方針に関しては「JIRAが昨年、発表した『画像医療システム産業ビジョン2030』の5つのビジョンにそれぞれ対応した項目などで構成されている」とし、5つのビジョン(①JIRA産業の振興と関連領域との連携強化②データが変える医療の実現に向けた環境整備③医療機器に即した法規制、保険制度の実現④グローバル市場での競争力の強化⑤持続可能な医療を提供する産業構築)ごとの基本方針を発表した。
①の『JIRA産業の振興と関連領域との連携強化』では、肺がんの早期発見への貢献を目指し、「低線量CT肺がん検診支援チーム」と「胸部X線肺がん検診へのAI―CA D活用提案チーム」の2チームが活動を開始する。前者のチームでは検査項目への低線量CT検査の追加による肺がんの早期発見と低線量CT検診の普及に取り組んでいく。
後者のチームでは胸部X線肺がん検診において「AI―CADを利用した読影支援システム」を活用し、医療の質を保ちながら働き方改革が狙う医療業務の効率化への貢献を推進する。
医療データの利活用推進
②の『データが変える医療の実現に向けた環境整備』では、医療データの収集・利活用を推進するための法整備の支援として、政府で定めた次世代医療基盤法の法整備において画像医療機器産業の要望が反映されるように取り組み、医用検査画像の利活用を促進することを目指していく。
診療報酬改定に向け提言へ
③の『医療機器に即した法規制、保険制度の実現』では、医療の効率化につながる評価など医療機器の製品化に対して予見性のある診療報酬制度の整備(26年度診療報酬改定に向けた活動)として、技術料の加算評価の評価軸や評価係数の明確化が課題と捉えているが、保険収載における予見性の確保に向けた要望の提言・活動を推進していく。
④の『グローバル市場での競争力の強化』では、医療機器規制の国際整合を目指すIMDRF(国際医療機器規制当局フォーラム)への提言として、IMDRF・Strategic・Plan2026―2030の策定に向けて「リアイアンスの導入拡大」を提案するよう計画を進めていく。
⑤の『持続可能な医療を提供する産業構築』では、緊急時の安定供給・安定稼働への取り組み(医療を途絶えさせないために)として、これまで自然災害やパンデミックなどの緊急時は会員各社が個別に復旧活動を行ってきたが、今後は業界として共通課題を明確にし、災害などに備えて必要な行動を事前に準備できるよう取り組んでいく。
「カンファレンスパーク」を活用促進
そのほかの25年度活動基本方針としては、昨年に運用を開始した『カンファレンスパーク』を活用し、▽医療従事者とJIRA会員双方向け「セミナーイベント」▽利用者が企業横断的に検索参照可能なサービス「会員企業トピックス」▽製品・技術情報の発信、医療従事者との意見交換、情報収集、自社サイトへの誘導を可能とする「個社専用ページ」――などのサービスを推進する。
JIRA関連産業に置かれている課題に言及しては「画像医療システムの装置買い替え年数は年々長期化し、現在、JIRA製品の代表的7機種の平均使用期間が12年以上で、装置の耐用期間を超えている。一方で医療機関としても容易に更新できない様々な要因があることも認識している。JIRAとしては医療機器の安全・安心な使用のため、装置の更新を耐用期間内で継続的に行えるような環境を整えていく必要があると考えている」と語った。
また、グローバル展開の課題としては「グローバル市場の中で日本の市場規模や国内生産高のシェアは、低下傾向にあり10%を切っている状況にある。JIRA産業のグローバル展開のさらなる拡大を、ステークホルダーの方々と協力しながら取り組んでいきたい」と述べた。