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円借款で日本の医療機材導入へ【日本ウズベキスタン・シルクロード財団ヘルスケア部会】

「第32回シルクロード・ビジネスセミナー」会場の様子

「第32回ビジネスセミナー」開催

日本ウズベキスタン・シルクロード財団ヘルスケア部会(部会長=松本謙一氏)は、2月27日㈭午後3時から、東京・大手町のKKRホテル東京で「第32回シルクロード・ビジネスセミナー」を開催した。今回は『2025年ウズベキスタン「環境保護とグリーン経済の年」における国民の健康増進などの政策について』をテーマに、賛助会員らが同国で展開してる事業を紹介した。

松本部会長

ビジネスセミナーの開会にあたり、あいさつした松本部会長はウズベキスタンが社会政策の柱の1つとして、医療分野へ注力していることにふれ「ウズベキスタンでは継続的に医療予算が大幅に増加し、国民の健康増進を目的とした健康診断の充実、医療サービスの質の向上を目指した医薬品と医療機器の調達システムの導入などが進められている。そうした中、1月20日には国際協力機構(JICA)と同国政府は円借款貸付契約を締結した。この円借款では医療機材整備に、日本の高度医療機材が導入されることになり、同国の医療サービス発展への寄与が期待されている」と述べた。

中央アジアとの経済協力事業を紹介

石井室長

このあと、経済産業省通商政策局ロシア・中央アジア・コーカサス室の石井秀彦室長が『中央アジア・コーカサス地域等との経済協力関係の深化に向けた取り組み』をテーマに講演した。

石井室長は「日本が進めているグローバルサウス諸国との連携強化の中で、中央アジア諸国との連携の重要性が高まっている。その中でもウズベキスタンは中央アジア諸国の中で最も人口が多いというバックグラウンドとともに、ミルジヨーエフ大統領のイニシアチブのもと経済自由化を推進し、高い経済成長率を誇っている。同国と日本の政府間対話は昨年から様々な機会でハイレベルなやり取りを進めてきている」と明かした。

日本企業のウズベキスタンへの進出支援として、経産省の予算事業(グローバルサウス補助金)を紹介しては「日本と現地企業が共創型でビジネスを興し、相手国産業の育成や社会課題解決のみならず、日本企業の技術展開やサプライチェーンの強靭化という双方がウインウインで進めていくための予算事業を展開している」とし、支援事業について①上限40億円の大型実証②上限数億円の小規模実証・FS(フィージビリティスタディ)③マスタープラン――の3つを挙げ、解説した。

これを踏まえ「3つの支援事業について令和5年度の公募は、ほぼ終わっているが、6年度については事業規模約1,500億円程度の予算を要求し認めていただいている。4月から公募を開始する予定になっている」と述べた。

医療技術等国際展開推進事業を解説

高山室長

次いで、厚生労働省医政局総務課医療国際展開推進室の高山研室長が『医療の国際展開に向けた取り組み』のテーマのもと、厚労省の国際展開事業を紹介した。

高山室長は厚労省が展開する医療技術等国際展開推進事業に言及し「同事業は2015年から始まり、来年度で10年目になる。活動としては、⑴日本の医療政策や社会保障制度などに見識を有する者や医療従事者を諸外国に派遣し、その国で研修を行い、医療技術や知識を諸外国に伝えていく活動⑵諸外国から研修生を日本の医療機関などに受け入れ、一定期間、医療技術を学び、自国での活動に活かしてもらう活動――を行っている。大半は1つの国で2つの活動をセットで行われている」と説明した。

また「医療技術等国際展開推進事業の事務的機能とコーディネートは国立国際医療研究センター(NCGM)が担っている。医療機関や大学、企業などから途上国などでの医療貢献事業を公募し、その内容をNCGMが取りまとめ、有識者の審査後、採択している。毎年、申請数は増え、現在は年間に60~70件の申し込みがあり、そのうち採択されるのは(予算の関係上)半分くらいになる」と語り、最近の事業内容として、カンボジアでの病理診断医の人材育成や、ベトナムでの脳卒中センターの遠隔診療活用、コンゴでの助産師の教育プログラム指導――などの事業を紹介した。

引き続き、ビジネスセミナーでは、賛助会員ら9氏がウズベキスタンでの活動内容の報告を行った。

このうち医療機器関係では、大同工業所の大桐伸介社長が『ウズベキスタン国血液管理体制強化事業の進捗と次の展開に向けて』を、パラマウントベッド国際営業本部の加藤良二郎本部長が『パラマウントベッドグループの海外展開と北海道・東川町での取り組み』をテーマに、それぞれ活動内容を報告した。