業界団体

ゼオンメディカルに「厳重警告」【医療機器業公正取引協議会】

医療機器業公正競争規約の違反行為で

「記者会見」を行う(右から)津藤事務局長、関尾専務理事、岡常任運営委員会委員

医療機器業公正取引協議会(会長=松本謙一氏、東京都中央区)は、8月26日㈪午後2時から、同協議会事務局で「記者会見」を開き、医療機器の市販後調査の名目で報酬を取引先の医療機関、医師に支払っていたゼオンメディカル(社長=渡辺順一氏、東京都千代田区)に対し、医療機器業公正取引規約で最も重い「厳重警告」を行った――と発表した。

本件発覚の経緯としては、医療機器業公正取引協議会が2021年3月24日に発出した「公正競争規約のより一層の遵守徹底について」の通知文書を受け、ゼオンメディカルが社内調査を実施した結果、同社が12年度以降、独自に行っていた市販後調査は、医療機器の販売促進を目的とする実態のない市販後調査(みなしPMS)であったことが判明した。

そのため、同社では21年4月、みなしPMSの新規契約と既存契約更新の中止を決定した。しかし、その後もみなしPMSの報酬を寄付金、原稿執筆料、講演料の名目で22年度まで継続して支払っていたことが判明。さらに、相手方にみなし公務員も含まれていたため、外部の法律事務所の支援を受け社内調査を実施し、22年12月に同協議会に自主報告した。

これを受け、同協議会では同社の行為が刑法に触れる疑いがあるため、捜査当局に報告することが先決であると指摘した。その結果、23年9月21日に警視庁は、国立がん研究センター東病院の医療機器(ステント)の選定・使用をめぐり、ゼオンメディカルに便宜を図った見返りに現金170万円を受け取ったとして同病院の元医長を収賄の疑いで逮捕し、同社の前社長を贈賄の疑いで逮捕した。

同社が18年度~22年度までの直近5年間に実施していたみなしPMSの件数は364件(医師37名220件、医療機関39施設141件、3大学3件)で、総額は1億2,000万円(医師8,100万円、医療機関3,800万円、大学100万円)となる。

また、取引先の医師、医療機関には公務員・みなし公務員が含まれており、その内訳は医師5名、医療機関10施設、2大学の延べ65件、総額2,000万円であった。

同協議会では、同社が実施していたみなしPMSによる報酬の支払いは、いずれも市販後調査における症例報告(調査票の提出)を名目とした同社医療機器の選択・購入を不当に誘引する手段として行われた金銭提供であることから、医療機器業公正競争規約の第4条第1号または第2号の不当な景品類の提供に該当し、規約第3条の規定に違反する――と判断した。

これにともない、同協議会では8月26日に同社の渡辺社長を呼び出し「厳重警告」を行った。これを受け、同社では再発防止策の是正措置を同協議会に報告するとともに、今後、同様の行為を行わない旨の契約書を交わした。さらに、1年後に再発防止策の改善状況報告書を提出することになっている。