医療機器の安定供給で医療に貢献へ【医器販協】
「ミッションステイトメント」策定
日本医療機器販売業協会(会長=山下尚登氏、医器販協)は、1月18日㈭午前11時から、東京・丸の内の東京會舘で「記者会見」を開き、山下会長や阿部篤仁副会長らが、策定した医器販協ミッションステイトメントや適正使用支援ガイドライン、流通2024問題への対応――などについて説明した。
記者会見で山下会長は、能登半島地震で被災した方々へのお見舞いと亡くなられた方々へお悔やみを述べたあと「医器販協では今回の地震発生後、災害対策本部を設置し、石川、富山、新潟、福井の4県の被害状況、医療機器の安定供給状況の情報共有を行った。また石川県と現地協会(石川県医療機器協会)が災害協定を結び、それに基づき、物資などの供給が行われた。今後は石川県と現地協会との対応状況を考慮しながら、広域支援体制の必要性などを検討していく」と報告した。
患者の安全と医療制度の一翼を担う
医器販協の活動にふれては「医器販協は販売業者唯一の全国組織団体として、1998年に発足以来、昨年25周年を迎えた。会員数は約960社となり、全国各地で医療機器・材料の安定供給を通して、患者の安心安全と医療制度の一翼を担っている。さらに、医療機器の特徴的機能にともなう預託在庫管理や短期貸出し・持込み、立会い、修理・保守、緊急対応――などの適正使用支援業務により、医療機関のチーム医療をサポートしている」と医療を支える医療機器販売業者の役割を強調した。
策定したミッションステイトメントについては「医器販協は発足以来、医療機器の安定供給と質の高いサービスを提供する活動を続けてきたが、これまで目指す方向やビジョンなどが明確に示されておらず、医器販協として、どのような価値判断で、何を目指すかが明文化されておらず、同じ方向に向かうというモチベーションが図りにくいと感じていた。そこで昨年6月の会長就任にあたり、ミッションステイトメントを策定した。ミッションステイトメントは医療機器の安定供給を軸足に置き、適正使用支援業務により、医療を支える一員として貢献していくことを明示し、そのために取るべき施策として5項目の行動基準(下記参照)を掲げている」とし、5つの行動基準(①安定供給②会員企業のレベル向上③行政機関・業界団体等への協力④コンプライアンスとガバナンス強化⑤サステナビリティ)を解説した。
適正使用支援ガイドラインの浸透へ
このあと、阿部副会長が、医療機器の流通改善に関する懇談会(流改懇)に関連する話題として「適正使用支援ガイドライン」と「流通2024問題」について説明した。
適正使用支援ガイドラインに関しては「流改懇は2016年に第8回を開催後、しばらく開催されていなかったが、昨年10・11月に開催された。適正使用支援ガイドラインは、行政の方々から第8回流改懇の座長整理に対する業界の取り組みとしてご理解いただいてはいたが、昨年の流改懇の場で、ガイドラインの策定を報告し、今後、業界はこのガイドラインに沿って安定供給を担っていくことを発信した」と報告した。
流改懇で発信したことで「医器販協の重要施策である適正使用支援ガイドラインの策定とその浸透は、業界の地位向上と持続可能性を図りつつ、医療現場への安定供給を目指す取り組みとして、実現に向けて大きく一歩を踏み出した。ガイドラインは業界の自主基準ではあるが、適正使用支援業務を行う上で拠り所となる基本スタンスを示している」と語った。
流通2024問題は全ての関係者で対応へ
一方、流通2024問題にふれては「7年ぶりに開催された流改懇でも、流通2024問題が議論のテーマに取り上げられ、委員間で議論を行った。その結果、医療機器の物流が停滞し医療サービスの提供に影響が出ないよう、製造販売業者、販売業者、医療機関などの各関係者が対応を検討することが必要だとした。これを受け、厚労省では昨年12月14日付けで『医療機器に係る物流2024問題等により生じうる問題と対応策について』の通知を出した。ここで重要なことは、課題克服の負担を1つの業界が担うのではなく、全ての関係者に対し対応を求めている点にある」とし、物流2024問題は医療機器業界と医療機関がともに対応していくことの必要性を訴えた。
医器販協「ミッションステイトメント」5つの行動基準
【①安定供給】
医療機器流通プラットフォーム構築を目指す取り組みへの協力、国立大学病院長会議と共同で検討しているPPE製品データベースの構築、緊急時の回転備蓄の提言等を通してサプライチェーンの強靭化への貢献により、災害時やその他の緊急時への対応、物流の効率化(情報化を含む)に取り組みます。
【②会員企業のレベル向上】
医療機器の販売・流通に関わる者として、また「適正使用支援」を行う者として、基礎的な資格であるMDIC取得の推進および教育の観点からの環境整備を行います。また、CDR、第二種MEなどのその他の専門的資格についても取得の推進を図ります。
【③行政機関・業界団体等への協力】
薬機法などの法規に関する事項、医療機器流通や情報化に関わる事項、災害時における協力体制など、厚生労働省・経済産業省などの中央省庁に加え、各都道府県・市町村の自治体との連携を深めていきます。
【④コンプライアンスとガバナンス強化】
薬機法遵守並びに継続的研修の実施、公正競争規約・透明性ガイドライン遵守を徹底します。独占禁止法や公正取引を取り決めた企業倫理綱領並びにプロモーションコード、競争法コンプライアンス遵守など、公正かつ健全な業界の事業活動を行います。
【⑤サステナビリティ】
SDGsやESG、働き方改革への取り組み、人権に配慮した事業活動・業界活動の推進を行います。