業界団体

「JASIS2023」開催【JAIMA、JSIA】

昨年より3,650人増の16,115人来場

「JASIS2023」会場の様子

日本分析機器工業会(会長=足立正之氏、JAIMA)と日本科学機器協会(会長=長谷川壽一氏、JSIA)は、9月6日㈬~8日㈮の3日間を会期に、千葉県の幕張メッセ国際展示場で、最先端科学・分析システム&ソリューション展「JASIS2023」を開催した。新型コロナウイルス感染症が5類に移行してから初めてとなるJASISは出展企業345社(前年比7%増)、1,096小間(同11%増)の規模で開催された。来場者数は3日間合計で昨年より3,650人増の1万6,115人となり、会場は初日から多くの来場者でにぎわいをみせた。

科学技術の強化や各産業の発展へ最新情報を発信

JASIS2023の開会式は6日午前9時40分から、会場内「JASISスクエア」で開催された。

足立会長

主催者を代表してあいさつした足立会長は「JASIS2023のメッセージは『測るが支える未来の社会』とし、未来へ向かって豊かな暮らしを作りながら、科学技術の強化や各産業界の発展につなげるため多様な最新情報を発信していく」と述べた。

展示会場内に設置されたJASISスクエアを説明しては「最先端のラボラトリーDX(デジタルトランスフォーメーション)の実機を交えたデモ展示や、2003年のヒトゲノム解読完了宣言から20年を迎えることを記念した実機展示、出展社による製品紹介、関係団体・研究機関の情報発信など、充実の内容となっている」とした。

JASISウェブエキスポに関しては「いつでも、どこでもアクセス可能な情報配信サイトとして好評をいただいている。7年目を迎える今年は、よりアクセス向上を目指してトップページの刷新を図った。ウェブエキスポを含めJASIS2023は来場いただく全ての皆さま方に、これまで以上に実り多き展示会になるよう、主催者一同、全力を尽くしてまいります」と語った。

様々な領域の研究開発を支援へ

長谷川会長

次に、長谷川会長は「政府は2月にGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針を閣議決定した。その背景には国際公約として2050年までにカーボンニュートラル実現を宣言したことに加え、世界的なエネルギー安定供給への危機感と、各国の脱炭素関連の大型投資計画などの潮流がある」と述べた。

これを踏まえ、長谷川会長は「GXにより、脱炭素とエネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現するという政府の基本方針によって、今後10年を見据えた取り組みが示されるものと受け止めている」とした。

JASIS2023の内容にふれては「最新の理化学機器・分析機器をはじめとする科学機器に関する技術や製品情報の発信拠点であり、あらゆる領域の研究開発や生産技術を支援する展示会となる。また、重要な社会課題としてのDXをはじめライフサイエンス、環境、食品などのトピックスにも注目した諸企画も展開する」と説明した。

最後に「JASIS2023の開催を通して、社会課題の解決に向けた研究開発や技術開発を支援し、将来に向けた科学技術の発展と産業の活性化を目指していく。出展企業と来場者の皆さまには業容拡大や技術向上、情報収集の有益な機会としてご活用いただきたい」と呼びかけた。

分析・科学機器の重要性が増加

浦田審議官

このあと、来賓を代表して、経済産業省の浦田秀行大臣官房審議官は「本展示会はアジア最大級の分析・科学機器の総合展示会として、例年、国内外から多くの方が来場されている。本展示会を通じて分析・科学機器業界の皆さまのビジネス機会が拡大し、今後の日本の経済、産業の発展を支える新しい技術やビジネス、ソリューションが数多く生まれることを期待している」と述べた。

また「分析・科学機器はあらゆる産業の研究開発や製造、品質管理になくてはならない我が国の科学、産業の発展基盤を担っている。コロナ禍を経て経済社会は大きく変化した昨今、分析・科学機器の役割はますます重要になっている。その証左としては、2022年度の国内生産額は6,866億円(前年比15.4%増)、輸出額は4,862億円(同18.9%増)で生産、輸出とも過去最高を記録した」と分析・科学機器の重要性を強調した。

DXへの取り組みにふれては「分析・科学機器業界では新素材や新製品の開発促進を見据え、複数の分析機器間でのデータ形式の統一化、標準化に向けた事業が推進されている。こうした取り組みは様々な製造業の開発、製造プロセスに革新をもたらすものであり、経済産業省としても大いにご期待申し上げ、引き続きご支援させていただきたい」とDXへの取り組み成果に期待した。

「JASIS2023」の開会式でのテープカット

ここで、足立会長と長谷川会長、浦田審議官、文部科学省の清浦隆大臣官房審議官、日本分析化学会の山本博之会長、米国大使館商務部のダニエル・ルー上席商務官――の6人がテープカットを行い、JASIS2023は開幕した。

見て・触れて・話して・実感できるリアル展示会

開幕したJASIS2023は幕張メッセ国際展示場の4~6ホールを使い、出展各社が最新鋭のラボ用分析機器・理化学機器や物理量計測機器、環境用分析機器、作業環境用分析機器、エネルギー関連機器、バイオ関連機器、電子デバイス関連機器、実験室設備――などの製品や技術力をアピールした。

来場者らは自身の研究・開発・製造業務に役立つ分析・科学機器を求め、各ブースを見て回り、各機器に触れて、技術員と話し、製品の最新情報を収集していた。

また、隣接する国際会議場では出展企業による新製品・新技術を紹介する「新技術説明会」や、分析・科学機器業界の注目の話題ごとに専門家が講演する「トピックスセミナー」などが行われ、分析・科学機器に関する様々な情報を提供した。

そのほか、11月30日まで開催している「JASISウェブエキスポ」は、出展社を一堂に集めたバーチャル展示会や、人気のトピックスセミナーや新技術説明会の動画を配信している。

なお、次回の「JASIS2024」は、来年9月4日㈬~6日㈮の3日間、幕張メッセ国際展示場で開催を予定している。