業界団体

日医工が総会開く 松本理事長らの留任決定

副理事長を増員して4人体制に

日本医療機器工業会(理事長=松本謙一氏、東京都文京区、日医工)は、8月23日㈬午後3時から、東京・飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントで「平成29年度定時社員総会」を開催した。総会では平成28年度事業・決算報告などを承認した。また、任期満了にともなう役員の改選では松本理事長が再任。副理事長には植竹強、武井和之、増田順の3副理事長が留任したほか、新たに青木理事が副理事長に昇格した。

SUD再製造への対応へ

生き残りをかけ自己防衛を

定時総会の開会にあたり、あいさつした松本理事長は単回使用医療

総会での審議の様子

機器(SUD)の再製造に関する制度の法整備が行われたことにふれ「アメリカでは単回使用医療機器の再製造が行われており、新品の7〜5割程度の価格で販売され、メーカーは新品と再製造品を並行販売している。その結果、数百億円のコスト削減につながっている。日本でも医療費の削減につなげるため、単回使用医療機器の再製造をどのように進めていくか、業界人として真剣に考えていくべきだろう」と述べた。

国立大学付属病院で医療機器の共同購入が検討されていることに言及しては「これからの時代は病院側も医療機器購入の戦略を次々と出してくる。それに対して、業界側としても理論武装というよりも自己防衛を考えていかないと、生き残っていくには大変な時代がきている」と語った。

また、松本理事長は自身が先ごろ中国とキューバを訪問したことについて「中国では中国の衛生部、民生部の大臣クラスと医療機器や医薬品の関係者10数人が参加したハイレベル官民対話に出席してきた。その席で感じがことは、中国市場で日本の医療機器企業が前年比で売り上げを伸ばしていることだ。中国では65歳以上の人口が日本の総人口と同じくらいになった中で、医療と介護の一体化政策を強く打ち出している。この政策により、中国市場では医療機器が国産品、輸入品ともに売り上げを伸ばしている。一方、キューバでも高齢化が進み、福祉用具と医療機器を一体化して製造・輸入を増やす方向性にある」と報告した。

世界で高齢化対策が伸展

マクロからミクロを見て戦略を

これを踏まえ、「世界全体の流れとして、各国では高齢化対策がサービスも含め進んでいる。日本の市場規模は世界の9・3%くらいなので、残りの約90%以上の世界各国の流れも見ながら、マクロからミクロを見たときに日本の医療機器産業はどうあるべきか、心して戦略を立てていくべきだろう」との方向性を示唆した。

このあと、議案の審議に入り、平成28年度事業・決算報告を承認後、定款の一部改正を行い、副理事長の定数を『3名以内』から『5名以内』に変更した。

また、任期満了にともなう役員改正は新理事候補26名、新監事候

日医工の新役員

補2名が発表され、これを出席会員が了承。ここで、新理事らは別室で第1回理事会を開き、互選により、松本理事長や、植竹、武井、増田の3副理事長の再任と、新たに青木理事の副理事長への就任を決定した。

これを受け、松本理事長は「非常に難しい時代ですが、全力を尽くして工業会の運営、提言活動、海外活動などに務めたい」、植竹副理事長は「工業会の活性化に向け、スムーズに若手にバトンタッチできるよう、考えながら進めていきたい」、武井副理事長は「今期は組織の改革について頑張っていきますので、皆さまのお力をお借りしたい」、増田副理事長は「よそ者、若者、馬鹿者が活躍できるような会にしていきたい。私は若者、馬鹿者の担当として、皆さまのご協力をお願いしたい」、青木副理事長は「浅学非才ではございますが理事長と、3人の副理事長の方々にご教授いただきながら、副理事長職を務めていきたい」――とそれぞれに抱負を述べた。

部会、委員会で各種事業を推進

次いで、報告事項として、先の理事会で承認された平成29年度事業計画と予算の内容が報告された。このうち、29年度事業計画では重点8項目を掲げ、各部会・委員会で、各種事業を推進していくことを確認した。

引き続き「特別講演会」が行われ、国際医療福祉大学大学院の武藤正樹教授が『単回使用医療機器(SUD)の再製造について』をテーマに、講演を行った。武藤教授は欧米ではSUDの再製造が進んでいる状況や、日本でも開始されたSUDの再製造の新しい制度の内容などについて解説した。

総会終了後は懇親会が催された。会場には来賓として、厚生労働省、通商産業省の担当官や関連団体の役員らも顔をみせ、会員らと情報交換のうちに親ぼくを深め合った。また、懇親会では長年にわたり理事を務め、今期で退任する積賀一正(アイ・エム・アイ)、鈴木文雄(日本光電工業)の2氏に感謝状と花束を贈呈し、その長年にわたる業界への貢献に感謝の意を表した。