業界団体

三笑堂の物流システム見学【平成いわしや会】

京都で「第24回総会」開く

三笑堂の物流システムを見学した平成いわしや会

社名に『いわしや』の屋号を冠する医療機器販売会社で組織する平成いわしや会(会長=西方晃・いわしや西方医科器械会長)は、9月10日・11日の日程で京都を訪れ、「第24回総会」を医療機器・介護機器専門商社の三笑堂(京都市南区上鳥羽町)の会議室を借りて開催した。また、同社の新物流倉庫を視察し、最新鋭の物流システムを興味深く見て回った。

10日午後に三笑堂本社を訪れた平成いわしや会一行は、同社の土手克己会長、井元宏美執行役員に迎えられ、会議室へ案内される。早速、この場を借りて総会を開催した。

総会は司会の古関伸一氏(本郷いわしや)の開会の辞のあと、4月に逝去した会員会社のいわしや宏仁堂・金山敏子前社長(享年93歳)へ黙とうをささげた。

総会であいさつした西方会長は、コロナ禍で活動を休止していたことに言及し「令和2年に横浜港に接岸したダイアモンドプリンセス号に端を発した新型コロナウイルス感染症は2年間、猛威を振るい、平成いわしや会としても総会を延期、活動を停止した。いまでも第6波、第7波と終息は見えないが、これ以上、先に延ばすことはできず、苦渋の選択により今年度の総会開催を決意した。開催場所については、松本最高顧問と協議のうえ、京都研修に決定。前回もお世話になった三笑堂・土手会長に再度お願いしたところ、快くお引き受けいただき、深く感謝申し上げる」と述べた。

医療機器は「一気通貫」での管理が重要

今総会では医療機器業界のサプライチェーンマネジメント物流の研修をメインにしていることにふれては「三笑堂様の新物流倉庫システムを見学させていただく。高度管理医療機器は製品の製造から顧客(医療機関)までの『一気通貫』の流通管理が求められている。我々卸業では、製造―流通―倉庫管理―配送管理―病院在庫管理―使用者顧客管理等すべてを管理することにより、医療機器の生業が成り立っている」とし、有意義な研修会になることに期待を寄せた。

また、総会への参加者については「今回、新たにサクラグローバルホールディング・松本謙一会長の直系十八代目にあたる松本滉太取締役と、いわしや森川医療器の森川岳男・新社長にもご出席いただいた」と紹介した。

総会の第2の目的である会員間の親睦に関しては「東本願寺の名称・渉成園、悟りの窓・迷いの窓、伏見城の血天井を移築したという源光庵と、江戸初期の文化人・本阿弥光悦が家康から与えられ、そこに草庵を結び法華題目堂を立てたという光悦寺を見学し、昼食は旧三井家下加茂別邸に用意させていただいた」と説明した。

次いで、医療人材の育成などの活動を行う『一般財団法人・松本財団』への寄付金の贈呈が行われ、平成いわしや会の最高顧問で、松本財団の代表理事の松本謙一氏に、西方会長から寄付金が贈られた。

広報「いわしや」の内容がさらに充実

このあと、いわしやサクラの田村幸一郎氏が会務報告の中で、発刊した『広報・いわ(〝わ〟は変体仮名)しや』第5号の内容を説明した。

『広報・いわしや』第5号の内容としては、西方会長の『医療から介護へ新たなヘルスケア環境に向かって』や、松本財団事務局長の長谷川フジ子氏(東京医療保健大学大学院客員教授)の『薬機法改正による添付文書の電子化とバーコード表示の義務化について』、田村氏の中国・武漢市で見つかったサクラ製のシンメルブッシュ氏煮沸消毒器と蒸気消毒器について『110年前に納入された〝鰯屋〟の製品』――などが寄稿されたほか、行政と民間企業の共同事業として注目される『医療機器のみらいを担う人材育成プロジェクト』紹介記事、いわしや宏仁堂の上野孝子社長が寄稿した『産婦人科領域のニーズに応え、着実に医療機器販売業を歩む』が掲載されている。

また、総会では次期総会の開催地について、同会が来年で25周年を迎えることを記念して、2023年9月に東京で開催することを決定した。

そのほか、総会では松本最高顧問が日本医療機器産業連合会副会長の立場から見た業界の近況について講演した。「本会の広報に書かれた西方会長の『医療から介護へ』で、介護保険料の増額抑止に科学的介護を、と書かれており、まさにその通りだと思う。中国のマーケットでも少子高齢化が進み、介護に非常に力を入れている。中国語では『介護』という単語はなく『養老』という言葉で提示される。このほど日本医療機器工業会は中国の政府組織と文書を交わし、今後、いろいろな面で協議していくことになっている」との動向を説明した。

さらに「わが国の行政においては、12月1日に施行されるトレーサビリティ向上のため医薬品等の包装等へのバーコード等の表示の義務付けを見直すが、その中で鋼製小物など直接、刻印が難しい製品に対してどう対応していくかが問題となる」と、業界に山積する課題について解説した。

総会終了後は三笑堂の物流倉庫(総床面積5730坪)へ移動。10年先を見据えたスペースとスペックを備えた倉庫内で、8000アイテムのロータリーラックH作業エリアを視察した。ロータリーラックは、出庫ポジションに近い旋回方向を段ごとに自動で判別し次々に出庫。待ち時間が少なく正確な入出庫作業が行われている様子を見て回った。

このほか、自律移動(SLAM)と自動認識(AI)によるカゴ車搬送ロボットORVなど、最先端技術を駆使した物流システムをつぶさに見学し見識を深めた。