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『国際医療シンポジウム』開催【医療・介護の安全保障を推進する民間会議】

「国際医療シンポジウム」会場の様子

「ポストコロナの未来像」テーマに

「医療・介護の安全保障を推進する民間会議」(代表理事=水巻中正氏・国際医療福祉大学大学院教授)は12月4日㈯午後1時30分から、国際医療福祉大学東京赤坂キャンパス(東京都港区)で、国際医療シンポジウム「ポストコロナの未来像―平和 多文化共生 連帯を問う―」を開催した。

コロナ対応は自国優先でなく連携を

水巻代表理事

開会にあたり、水巻代表理事は「コロナウイルスは2019年12月に中国・武漢市で発生が確認され、世界的に流行をみせ、世界の感染者数は2億5000万人、うち死者は500万人を数える(21年11月現在)。日本国内では収束しつつあるとはいえ、感染者172万人、死者1万8000人に達している」と世界的なパンデミックの状況を憂慮した。

これを踏まえ「新型コロナウイルスの発生源はいまだに特定されておらず、科学的解明、透明性に欠ける。また、ワクチンの開発は進み、21年から接種者は急増しているが、国によって接種率は異なり、発展途上国では普及していない。WHOでは3回目の接種の実施より、途上国への接種を急ぐよう呼びかけている」と語り、自国優先主義を排し、国際協力、連帯、救済を図るべきことを強調した。

未来創造は「歴史」「経験」そして「感性」から

松本会長

次いで、サクラグローバルホールディングの松本謙一会長が登壇し、「未来創造は『歴史』『経験』そして『感性』から―賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ―」と題し、特別あいさつを行った。

松本会長は明るい未来への課題として、①グローバル化②人材育成③医療DXへのチャレンジ――の3点を挙げ「グローバル化はその昔は国際化と申しましたが、現在ではより高い次元でグローバル化として進展している。人材育成は国内外で人材を見つけ、育成していくことが大事になる。医療DXはAIやITなど、どんどん進歩しているが、常に人に患者に寄り添い、人間あっての進歩が必要だと思う」と、それぞれのポイントを説明した。

1980年代にキューバに同社が工場を建て、医療機器を製造していた経緯について「フィデル・カストロ氏から『盟友のチェ・ケバラは暴力革命で人々を幸せにしたが、私は暴力を好まない。平和主義で万民平等にするのが私のミッションだ』といわれ、それに同感して、その場で握手を交わし、工場を建設することを決めた」と回顧し、それぞれの国の文化は違っても、信念が共感できれば国際共生が可能な一例を示した。

また、同社ではベトナムからの技能実習生を受け入れていることにふれ「これからは持続可能な多様性の文化が大事になってくる。すべては未来につながっている。他人があっての自分、他国があっての自国、この精神がなにより大切だ」と述べた。

引き続き、特別講演として、難民を助ける会の長有紀枝会長が「人間の安全保障の視点から考えるポストコロナの未来像」、経済産業省ヘルスケア産業課の稲邑拓馬課長が「日本の医療インバウンド政策~新型コロナ後に向けて~」、倉敷リハビリテーション学院の福嶋裕美子理事長が「東南アジアでの友好人材確保」を、それぞれテーマに講演した後、シンポジウム「ポストコロナの課題と展望」が開かれた。

「医療・介護の安全保障を推進する民間会議」について
同会議は医療・介護の研究者や、病院・介護施設関係者らが中心になり2014年に設立。国際的に高齢時代を迎え、高齢先進国の日本がアジア諸国と医療・介護の交流を深め、軍事力ではなく、日本の医療・介護制度、技術、ノウハウを啓発し、友好の輪を広げることによって「安全保障」を構築することを目的としている。