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「第二期中期経営計画」発表【医療機器センター】

医療機器産業研究所の方向性や医機ナビの活動を報告

「記者懇談会」を行う菊地眞理事長(前列中央)、中野壮陛専務理事(同左)、新見裕一常務理事(同右)

医療機器センター(理事長=菊地眞氏、東京都文京区)は、9月17日㈮午後2時から、同センター内で本郷記者会との「記者懇談会」を開き、第二期中期経営計画(2021~2025年度)の概要や、附属のシンクタンク部門「医療機器産業研究所」の方向性、就活生向け医療機器産業魅力発信WEB「医機ナビ」の活動内容――などについて発表した。

冒頭、菊地理事長は「5年前の30周年を機に、5年ごとの中期経営計画を策定して各種事業に取り組んできた。4月からは第二期中期経営計画を遂行しており、当センターがどのような方向に進んでいくのかご説明申し上げる」とあいさつした。

このあと、中野壮陛専務理事が第二期中期経営計画の概要や医療機器産業研究所の方向性、医機ナビの活動について説明した。

第二期中期経営計画は策定にあたり、産官学臨のステークホルダー40名からヒアリングを行い、▽第一期中期経営計画の活動実績について▽ステークホルダー自身の活動変化や期待される役割▽今後の医療機器センターへの期待――などのアンケートや、ステークホルダーとのグループディスカッションを実施して、産官学臨からの期待事項を可視化した。その後、職員とのヒアリング、ディスカッションも重ね、期待事項を実現する上での課題、活動すべき事項の棚卸し作業を経て、第二期中期経営計画を策定した。

ハブ機能の強化に期待
信頼される中立的機関として拡充

産官学臨からの医療機器センターへの期待事項に関しては、医療機器の課題は複雑で各企業、各団体だけでは解決できないため、医療機器センターには中立的立場を踏まえ、産官学臨の『ハブ』としての取り組みに最も期待が寄せられた。

ハブ機能には『情報のハブ』と『人財のハブ』があり、このうち情報のハブでは、①医療機器産業の関係者や新規参入者が困った時に最初に門を叩く窓口(駆け込み寺)としての機能②国内外の最新情報を収集し関係各所に周知伝達する機能③産官学臨の意見を集約しつつ第三者的な立場で方針を提言する機能――の3つの機能が期待される。

人財のハブとしては各種変化に対応できる人財を生み出すための支援策に期待が寄せられている。限られた医療の人的リソースを有効活用するため、専門家の多能工化や、高度な機器を扱える人材の育成などが重要になる。

また、既存事業に対する意見としては医療機器センターの7事業のうち、シンクタンク事業と情報サービス事業、企業研修事業、医療研修事業、国家試験事業――の5事業の活動を評価する意見が多かった。一方、国際交流事業と認証事業は活動内容や位置づけが不明瞭である、との意見が多かった。

これら産官学臨のステークホルダーからの評価や期待を踏まえ、第二期中期経営計画では従来の事業が高い評価を受けていることから、基本的には第一期中期経営計画の継承と強化を図り、信頼される中立的機関としての機能をベースに、事業化支援、シンクタンク、教育・人材育成、情報提供・パブリシティ――の活動を推進していく。期待されているハブ機能については、その機能を明確化し、同時に強化策を打ち出していく。

立ち位置の不明瞭さが指摘された認証事業については、医療機器業界の大半を占める中小企業を支援していくという立ち位置を明確にしていく。新規参入企業や中小企業にやさしい料金設定にし、ホームページを通じて常時、無料見積もりを受け付ける。新たに審査経験のある人材の採用や人事異動により、審査員を2名から4名に増員し、審査業務の質と量を充実させた。そのほか、認証に関する無料説明会(WEB)や認証申請の無料面談(WEB含む)も実施していく。

国際交流事業については、国際化を見据えたグローバル活動について、医療機器センターとして何ができるかを検証していく。

そのほか、第二期中期経営計画の実現に向け組織体制の整備にも着手した。部署間の再編として、医療研修事業部と企業研修事業部を統合し研修事業部を新設して、横の連携が速やかにできる体制とした。また、デジタル化対応ではDX推進室を設置。さらに、広報機能を強化するため広報担当部長職を新たに設けた。

政策提言の実行性高める活動へ

一方、医療機器産業研究所は設立して10周年を迎えた。これまでシンクタンクとして『リサーチ&ディスカッション』の活動を通じて政策提言を行ってきた。これからは政策提言をして終わりではなく、実際に課題解決につながるよう活動が大事になってくる。そこで同研究所では昨年来、提言を審議会などに働きかける活動も始めた。それにともない活動内容も『リサーチ&ディスカッション&アクション』に幅を広げ、政策提言の実効性を高めていく方針だ。

また、医療機器産業研究所ではこれからの医療機器の産業政策について、これまでの視点を変え、システム全体の『リ・デザイン』(再設計)に取り組み、議論の方向性を転換していく。

具体的には、これまで医療機器は日本から海外へ輸出をするという発想が多かったが、これをグローバルな産業戦略を見据えた議論に軸を移していく。また、医療機器の開発時に日本企業は自前主義だったが、これをオープンイノベーションの中でベンチャーなどと連携して取り組んでいく議論に変えていく。さらに、これまで医療機器は単体のハードウェアが主体だったが、これをシステム化やデジタル化を見据えた議論に軸足を移していく。

医機ナビの就活イベントが好評

就活生向けWEBサイト「医機ナビ」は2018年の開設以来、就活生に医療機器産業の魅力を発信し、就活生と産業界のより良い出会いをサポートしている。

昨年11月には業界初の就活生向けオンラインイベントを開催し、参加企業10社、登録学生数672名を得て、90・3%の学生が満足と回答。今年6月には2回目のイベントを開催し、参加企業22社、登録学生数1014名を得て、85・1%の学生が満足と回答。さらに、11月13日に3回目のイベントの開催を予定している。