「医療AIプラットフォーム技術研究組合」設立
医療AIサービスの普及・発展へ
日本ユニシスと日立製作所、日本アイ・ビー・エム、ソフトバンク、三井物産の5社は、医療AIサービスのさらなる普及・発展に向け、技術研究組合法に基づき、厚生労働大臣と経済産業大臣の許可を得て「医療AIプラットフォーム技術研究組合」(HAIP=Healthcare AI Platform Collaborative Innovation Partnership)を設立した。今後、HAIPは研究成果をオープンに公開して、医療AIサービスの普及・発展に貢献し、医療の質の確保や医療関係者の負担軽減をめざす。
近年、医療分野のAI技術の活用は、国内外で多くの実例を目にする段階にあるものの、業界共通の基盤技術への取り組みでは、次世代を見据えた共通の接続手順や、高度セキュリティー環境の提供方法、国際標準化の動きへの対応――など個々の企業だけでは対応し得ない課題がある。
このような中、内閣府戦略的イノベーション創出プログラムで、2020年度から医療AIプラットフォーム(医療AIPF)の社会実装化に向けた検討を5社と日本医師会AIホスピタル推進センターが連携しながら取り組んできた。
医療AIPFの社会実装を実現する上で、業界共通の基盤技術の研究開発は「オープン&クローズ戦略」で行われるが、そのオープン領域の研究開発の運営母体として、非営利共益法人のHAIPが設立された。
HAIPの研究領域は、①高度で先進的な医療AIサービスをメニューとして一元的に提供するポータルサイト機能を有するシステムの研究開発②医療関係者などがポータルシステムを利用する上での本人認証、データ転送時の暗号化技術などのセキュリティー領域の研究開発③ポータルシステムと医療AIサービスを接続するための規格であるAPIの研究開発④先の3つの研究開発を共通の基盤として医療関係者などが円滑に利用できるよう、5Gを活用した医療AIサービスの実用化に即した機能などの要件を整理するための研究開発⑤医療AIサービスの開発ベンダーや研究者向けにデータ提供を仮想環境で実現し、物理的なデータ拡散を防止する技術などの研究開発――の5つとなる。
今後は業界共通の基盤技術の開発により、医療機関だけでなく、民間の健診センターや保険会社なども簡単に安心して医療AIサービスを利活用できる環境を構築するとともに、革新的な医療AIサービスに関する研究開発を後押して「医療分野におけるソサエティ5・0の実現」の一助をめざす。
なお、技術研究組合は制度上、研究成果を基に株式会社に組織変更することも可能なので、将来的にはHAIPを株式会社に組織変更して、研究成果の事業化や社会実装を計画している。