業界団体

災害時の医薬品・医療機器の流通最適化へ【医ト協】

医療トレサビリティの検証を実施

医療トレーサビリティ推進協議会(理事長=落合慈之氏、医ト協)は、医薬品・医療機器の流通情報・使用状況をメーカーから医療機関まで一気通貫で管理できる日本初のオープンプラットフォーム「Seeプラットフォーム」を構築しているが、このほど災害時の医薬品・医療機器の流通最適化をめざし、Seeプラットフォームによる医療トレーサビリティに関する実証実験を実施した。

Seeプラットフォームは平常時から災害時まで、国民・患者に安心で安全な医療を提供することを目的に、医薬品・医療機器の製造から使用、廃棄までのライフサイクル全体を、国際的な商品識別コード(GTIN=Global  Trade  Item Number)を読み取ることでトレース(追跡)できるプラットフォームとなる。

実証実験では災害時を想定して東京にある医薬品メーカーの工場から、北海道函館市の高橋病院まで、実車両を使い、ダミー医薬品の輸送と自治体(函館市)との情報連携に関する、①GDP(Good  Distribution  Practice)遵守②在庫最適化③災害時支援――の3機能について検証した。

輸送・保管中の温度・位置情報を追跡確認

①のGDP遵守では車両輸送の途中や保管時の位置や温度情報を追跡、管理した結果、輸送・保管中のダミー医薬品を「品目」(GTIN)と「ロット」で捉え、リアルタイム(5~10分程度)に温度・位置情報を集約することで、サプライチェーン全体を通じて適切に品質情報や入出荷情報が管理されていることが確認できた。

②の在庫最適化ではGTINコードを使用した医薬品移動時の情報管理により、荷主が変わっても温度・位置情報を正確にトレース・管理できることが確認できた。これにより、災害が発生してもすばやく初期在庫として活用が可能となる。

③の災害時支援では医療救護所で「GTIN読み取りスマホアプリ」の活用により、医薬品取り扱い未経験者でも作業効率が大幅に改善し、作業時間が約58%短縮したほか、医薬品名の読み間違い防止、仕分けの精度が向上した。

今回の検証結果を踏まえ、医ト協は今後、Seeプラットフォームによる、医療現場でのデータ連携・在庫管理、処方から服用まで(患者治療・処方領域)のトレーサビリティの検証を行い、医療における国民・患者の安全・安心と、医療者の負担軽減の実現をめざしていく。