業界団体

グローバス社に「厳重警告」【医療機器業公正取引協議会】

不適切な金銭提供の規約違反で

「記者会見」を行う医療機器業公正取引協議会の関尾順市専務理事(中央右)、常任運営委員会の高橋勝美委員長(同左)ら

医療機器業公正取引協議会(会長=松本謙一氏、東京都中央区)は、3月24日に「記者会見」を開き、民間の医療関係者に不適切な金銭提供を行っていた会員事業者のグローバスメディカル(社長=ステファン・R・ラニーヴ氏、東京都千代田区)に対して、医療機器業公正競争規約の違反行為を行っていたとして「厳重警告」の措置を行った――と発表した。

グローバスメディカルは米国医療機器メーカーの日本法人。2016年9月に米国親会社が前身の会社を買収して設立。脊椎疾患治療で使用する脊椎インプラントなどを販売している。

規約違反行為の内容は、グローバスメディカルが取引先の民間医療機関の医師やその親族が役員となっている会社に、同社製品の販売にあたり、保険償還価格や売上高をもとに算出した額(約10%)を販売手数料として支払っていた。

具体的にはグローバスメディカルが取引先医療機関への自社製品の販売にあたって、医療機関側の需要情報や医療機器のアドバイスなどの業務(販売協力業務)について、医師やその親族が役員となっている会社を含めた「エージェント」と称する会社41社(個人も含む)と個別に業務委託契約を結び、販売協力業務に対する対価として販売手数料を支払っていた。エージェント41社のうち、20社が医師やその親族が役員を務めていた。

グローバスメディカルの国内の年間売上高約55億円のうち、直近3年間でエージェントに支払っていた販売手数料の合計額は、18年が2億3200万円、19年が2億8600万円、20年が1億9800万円になる。

不適切な金銭提供はグローバスメディカルが買収した前身の会社が始めたことで、買収当初、米国親会社はその行為を把握していなかった。買収2年後の18年に米国親会社がその行為に気づき、弁護士を使って調査した結果、その事実が判明した。

これを踏まえ、米国親会社は日本法人にエージェントとの業務委託契約の解除を求めたが、その解除業務がなかなか進展しないことから、米国親会社は日本法人の社長を交代させ、19年12月に米国からステファン・R・ラニーヴ氏を新社長として来日させた。

その後、ステファン社長はエージェントとの解除業務を推進し、医師やその親族が役員となっている20社との業務委託契約を20年11月中旬までに全て解除した。その他のエージェントについても1社を残し、21年中に業務委託契約を解除する予定となっている。

医療機器業公正取引協議会では、グローバスメディカルが行っていた販売手数料の算出方法について、当該医師が意図的に同社製品の使用を増やすことができ、同社製品を使用すればするほど当該医師に金銭が入る構図なため、医療機関などに対する不当な取引誘引手段としての金銭提供であると判断した。同行為は医療機器業公正競争規約第4条第1号に該当し、規約第3条規定の違反にあたる。

規約適用条項に基づき、同協議会では3月24日にグローバスメディカルに対して「厳重警告」を交付した。これを受け、同社は今後、再発防止の是正措置を同協議会に報告するとともに、同様の行為を行わない旨の誓約書および1年後の再発防止策の改善状況報告書の提出を行うことになっている。