「新春スタートの集い」開催【日医工】
オンラインで特別鼎談や講演会を実施
日本医療機器工業会(理事長=松本謙一氏、日医工)は、新型コロナウイルス感染拡大にともない、賀詞交歓会を中止にして、それに代わり、1月7日㈭午後3時から、オンラインで「2021年新春スタートの集い」を開催した。リモートで行政幹部が来賓あいさつを行たったほか、武見敬三参議院議員を迎え、医療機器の国際展開をテーマにした「新春特別鼎談」や、佐藤可士和氏(クリエイティブディレクター)による「特別講演会」を配信した。
リバースイノベーションも大事
開会にあたり、あいさつした松本理事長は昨年11月の官民対話で医療機器産業の当面のビジョンとして、グランドタイトル『革新的な医療機器の創出に向けて』のもと4つのキーワード(①イノベーションの加速②医療機器の安定供給③DXによる医療ビッグデータの利活用④国際展開)について説明したことに言及した。
松本理事長は「抽象的にキーワードを申し述べることは簡単だが、もう少し具体的にお話させていただくと、例えば『イノベーションの加速』1つを取っても、現在、医療が高度化して医療機器も非常に高額になってきている。それにより、昨今メディアで取り上げられている不祥事が起こる種にもなりかねないと思う。その意味ではWHOが提唱するリバースイノベーションにチャレンジすることもイノベーションの対極として大事になる」と語った。
ニューノーマル時代の企業のあり方にふれては「これまで日本人は同質化した人間を育成することを大事にしてきたが、これからはダイバーシティ、多様性の時代なので人間の質とはどういうものかを考えていく必要がある。このようなことを含め、単純にイノベーションや環境について語っていればいい時代ではない」と述べた。
このあと、来賓の厚生労働省医政局の迫井正深局長と、厚生労働省医薬・生活衛生局の鎌田光明局長、経済産業省商務・サービスグループ医療・福祉機器産業室の廣瀬大也室長――の3氏が新年のあいさつを行った。
今こそ産官学連携が求められる
まず、迫井局長は「医療機器は科学技術の進歩をいかに早く取り入れ、それを人々にどう届けていくのかが重要な命題となる。これへの対応はアカデミアや研究機関、民間の取り組みが重要で、いわゆるオープンイノベーションといった産官学の連携が今こそ求められている。本年も医療機器業界の皆さまには、こういった取り組みの中心となっていただけるようご理解とご支援をお願い申し上げる」と述べた。
引き続き医療機器の安定供給を
次いで、鎌田局長は「目下の課題は昨年来続いている新型コロナウイルス感染症への対応となる。医療機器業界の皆さまには人工呼吸器など、医療現場に必要な医療機器を安定供給していただきありがとうございます。コロナに関連する医療機器の承認審査については厚労省とPMDAが連携して優先、迅速に対応している。皆さまには引き続き必要な医療機器の安定的な供給にご協力をいただけますようお願い申し上げる」と語った。
コロナ禍で医療機器の輸入超過が顕在化
また、廣瀬室長は「これまで課題と考えていた医療機器の輸入超過が、今回のコロナでより顕在化した。特に人工呼吸器の輸入は9割以上ということがクローズアップされた。課題解決に向け、今後の産業政策としては求められる医療機器の開発と安定供給の達成に取り組んでいきたい。コロナ禍では国内市場だけでなく、海外市場でも日本製医療機器が喜ばれ使われることが求められる。貴工業会はアジアを中心に長年、活動されており、今後も活発な海外展開を期待している」と語った。
引き続き、武見敬三参議院議員と、松本理事長、海外医療機器技術協力会の矢野守専務理事による『医療機器の国際展開をより拡大させるために』をテーマにした「新春特別鼎談」が行われたあと、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏と、日医工の松原一郎理事による『佐藤可士和氏と探る医療のデザイン』をテーマにした「特別講演会」が実施された。
なお、「2021年新春スタートの集い」はオンデマンド配信(期間限定)されている。