事業現況や方向性を発表【医療機器センター】
菊地理事長らが「定例懇談会」で
医療機器センター(理事長=菊地眞氏、東京都文京区)は、7月21日㈫午後2時から、同センター内で本郷記者会との「定例懇談会」を開催した。懇談会には菊地理事長をはじめ中野壮陛専務理事、新見裕一常務理事、林茂事務局長らが出席し、第一期中期経営計画の実施状況について、従来からの事業を継承しつつ、新しい事業を創造し、各種事業を推進していることを報告した。また、トピックスとして、就活性向けの医療機器業界WEB合同説明会企画、新型コロナウイルス感染症対応事業、周年事業――などについて発表した。
懇談会で菊地理事長は「当センターは今年で設立35周年を迎えた。5年前の30周年の時に、財団も『運営』から『経営』に変わっていかなければならないと考え、第1期中期経営計画を立て、実行してきた。第1期計画は今年、5年目で最終年になる。本日は第1期計画の実施状況などもお話させていただくが、来年の2021年度から第2期中期経営計画をスタートさせるべく、現在、産官学臨の方々からアンケートやヒアリングを行いながら、第2期計画を取りまとめている最中で、秋には公表できると思う」と述べた。
このあと、中野専務理事は第1期中期経営計画の実施状況について、中期経営計画を構成する①信頼される中立的機関②事業化支援③シンクタンク④教育・人材育成⑤情報提供・パブリシティ――の5項目ごとに説明した。
中期経営計画のベースとなる①の信頼される中立的機関については「産官学臨の協力により、▽医療ガス設備の安全管理▽治験ガイダンス▽CT/MRIの保守点検指針▽サイバーセキュリティガイダンス――に関する行政通知の発行に携ってきた。このうち、医療ガス設備の安全管理についてはアップデートする予定で、今後も行政との関係を構築しながら、医療安全や医療機器の開発振興に務めていきたい」とした。
②の事業化支援については「身近な認証機関として選ばれる存在となるため、認証期間の短縮、手ごろな審査料金、無料の説明会・面談――などを実施し、中小企業に寄り添った認証活動を展開している。当センター附属のシンクタンクである医療機器産業研究所では医療機器の開発から事業戦略策定、認証・承認までの一貫した事業化支援事業を行っているが、昨年度は130件の事業化支援を行った」と解説した。
③のシンクタンクについては「多様性・専門性の高いリサーチペーパーを作成してほしいとのご意見が多いことから、外部からの公募型リサーチペーパーを2017年から開始し、これまでに11本を採用し、うち8本を発行した」と報告した。
④の教育・人材育成については「2016年に人材教育シリーズ『JAAME Academy』を開設し、医療機器開発実務者育成セミナーやQMS講習会、NEXT経営人材研修などを実施してきた」と活動の一端を紹介した。
就活生向け合同説明会
11月4日にWEB開催へ
⑤の情報提供・パブリシティについては「2018年に就活生に医療機器産業の魅力を発信し、就活生と産業界のより良い出会いをサポートする、医療機器産業に特化した就活生向けの情報発信サイト『医機ナビ』を開設した。20年からは新たな取り組みとして『医療機器・ヘルスケア業界WEB合同説明会2020』を開催する予定だ」と予告した。
医療機器・ヘルスケア業界WEB合同説明会2020の詳細にふれては「医機ナビの活動の中で、大学職業指導研究会とディスカッションを重ね、WEB合同説明会を企画した。開催日程は11月4日㈬13時30分から17時までで、開催方法はWEB会議システム『Cisco Webex Meetings』を用いたオンライン方式となる。対象は就活を控えた大学生・大学院生(200~300 名程度)で学部は理系、文系を問わない。参加企業は10社程度を予定しており現在、7社から参画のご回答を得ている」とWEB合同説明会の開催要領を説明した。
コロナ対応で人工呼吸器などの生産支援
新型コロナウイルス感染症対応事業に関しては「経済産業省からの要請により、当センターが『人工呼吸器等生産設備導入支援補助事業』と『N95マスク・非接触体温計・パルスオキシメータ生産設備導入支援事業』の事務管理事業者として、補助事業者の募集を行い、生産設備の導入などの一部経費を補助するもの」とコロナ禍において、人工呼吸器やN95マスクの増産体制を支援する事業の事務局を担っていることを明かした。
補助事業の実施結果については「人工呼吸器の補助事業は、補助事業者を募集した結果、アコマ医科工業と日本光電富岡、テルモ、泉工医科工業の4社を採択。各社の生産設備の整備・増強費用の一部を補助していく。N95マスクなどの補助事業は補助事業者の募集は終了し現在、採択委員会で採択している。決定次第、各社の生産設備の整備・増強費用の一部を補助していく」とした。
ベンチャー支援や他産業との連携へ
周年事業に関しては「当センターは35周年を迎え、その中で附属の医療機器産業研究所は10周年を迎えた。同研究所は主な活動である提言活動や研究会開催、事業化支援事業などは継承しながら、次の10年を見据え、ベンチャー支援や製薬・再生医療などの他産業との連携、AI・デジタルヘルスなど、新しいキーワードを意識した研究会や政策提言、支援メニューの充実を図っていきたい」との方向性を示した。
情報・人財のハブ機能と情報発信力の強化へ
また、第2期中期経営計画の策定に向け実施している、産官学臨からの同センターへの期待事項の可視化調査に言及しては「産官学臨の関係者40名から、第1期中期経営計画の評価やコロナ禍での5年・10年先の予測、当財団への期待――についてアンケートを行った。その後、産官学臨関係者によるオンラインディスカッション、外部からの期待値と内部職員のギャップを検証する職員によるオンラインディスカッションを実施した。これらを踏まえ、当財団として『情報のハブ機能』、『人財のハブ機能』、『情報発信力の強化』の3点をキーワードに現在、第2期中期経営計画の取りまとめ作業を行っている。今秋には策定し公表する予定だ」と発表した。