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画像診断装置の長期使用が固定化【JIRA】

画像医療システム導入状況を調査

日本画像医療システム工業会(会長=山本章雄氏、JIRA)は2019年11月~12月にかけて「第17回(19年度)画像医療システム等の導入状況と安全確保状況に関する調査」を実施し、調査結果を公開した。その結果、装置の平均買い替え年数の大幅な延びの固定化や、保守点検の実施率が向上しない状況が続いていることが判明した。

同調査では全国の医療施設を99床以下、100床~299床、300床~499床、500床以上の4つの病床群に分け、その中から無作為に抽出した1000施設の放射線部門技師長宛にアンケート用紙を郵送し、締切日までに得られた有効回答数405施設(回収率41%)からの回答を集計・分析した。

調査結果によると「平均買い替え年数」は、▽X線CT装置▽血管撮影用X線装置▽MRI装置▽核医学装置(SPECT装置)▽粒子加速装置▽超音波装置▽CR画像処理装置――の代表的7機種に関して、平均使用期間は第7回調査(08年)から11回連続して11年を超え、16年からは12年となり、長期使用が固定化され、日常の安全点検と定期的な保守管理の重要性が増している状況となっている。

「装置の稼働年数別台数」は、調査対象51機種の実際の使用期間を1~5年、6年~10年、11年以上の3区分で調査。その結果、最長の使用期間11年以上は51機種中11機種(22%)の装置が50%以上あり、15機種(29%)の装置が40%以上と長期使用の状況であった。

また、6年~10年と11年以上の合計が50%以上の機種は51機種中46機種(90%)と多数を占め、平均買い替え年数の長期化を裏付ける結果となった。

「保守点検実施状況」は、▽一般X線撮影装置▽血管撮影用X線装置▽核医学装置▽超音波装置▽CR画像処理装置――の5機種の内、血管撮影用X線装置とCR画像処理装置はわずかに増加(前回比)しているが、一般X線撮影装置と核医学装置、超音波装置は減少(前回比)した。

「医療機器安全管理責任者の設置状況」は全体の90%以上の施設が設置しているものの、病床規模や設置主体で差がみられた。医療機器安全管理責任者の職種は診療放射線技師や臨床工学技士、医師の3職種で約90%以上を占めている。

「医療機器保守点検計画の策定状況」は、策定していると回答した施設が92・1%と前回調査から0・5ポイント良化した。

JIRAでは同調査を88年から「医療機器の導入実態調査」として継続的に実施している。調査結果を基に画像医療システムの医療現場での安全で適正な使用の促進を提言している。また、産業全体の技術水準の向上、社会ニーズに沿った画像医療システムの開発方向性の探求、安全性・標準化の基礎資料作成などにも調査結果を活用している。