「講習会」「賀詞交歓会」開催【日縫協】
生物学的安全性評価について研修
日本医療用縫合糸協会(会長=中島孝夫氏、東京都文京区、日縫協)は、1月30日㈭午後5時30分から、東京・湯島の東京ガーデンパレスで「講習会」を開き、医療機器の生物学的安全性評価について学んだあと、「2020年賀詞交歓会」を開催した。
講演会では「ISO10993-1及び国内ガイダンス改正に伴う新たな生物学的安全性評価方法について」を主題に、食品薬品安全センター秦野研究所の金澤由基子所長が「基本的考え方の変更ポイント」、医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療機器審査第二部の穴原玲子審査役補佐が「申請時に気を付けたいポイント」について講義を行った。
このうち、金澤所長は1月6日に発出された『医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方についての改正について』(薬生機審発0106第1号)の主な改正点を解説した。
金澤所長はISO10993-1との調和を考慮した改正ポイントとして、①医療機器の生物学的安全性評価がISO14971のリスクマネジメントプロセスにおける検証作業の一環として行われるものであることを追記②ISO10993-1に規定された定義、用語および評価の進め方との整合③再使用可能な医療機器、ナノマテリアル、Transitory―contacting medical device、生分解性評価、生殖発生毒性およびがん原性等の評価に関する注意事項の記載④試験は原則GLPに従って実施することを追記--の4点を挙げ、説明した。
一方、穴原審査役補佐は、生物学的安全性評価のレパートリーが増えていることにふれ「ひたすら試験を実施するのではなく、さまざまな化学的・物理学的情報を利用することで、生物学的安全性評価を効率よく行うことができる」と述べた。
星取表の試験さえ実施すれば終わり、という安易な対応ができなくなることに関しては「化学分析結果やその結果を利用して生物学的安全性試験実施を省略する場合は、その妥当性の確認のため、積極的にPMDAの対面助言をご利用いただきたい」とアドバイスした。
申請者の説明事項(評価に至るまでの考察など)が増えていることについては「STEDに評価の経緯や結果の説明をしっかり記載する必要がある」とした。
『ミニ講習会』を実施へ
QMS調査への対応テーマに
講習会終了後は、賀詞交歓会が催された。開会にあたり、あいさつに立った中島会長は「本年は十二支の最初の子年で、世の中の景気が良くなる年といわれているが、年明け早々にアメリカとイランが戦争の危機となり、何とか回避したと思ったら、中国で新型肺炎が発表され、今や世界中に広がるのではないかと心配している。協会として、何か協力できることがあればお手伝いしたい」と激動の世界情勢を憂慮した。
協会事業に言及しては、今年が診療報酬改定の年にあたるため、日本医療機器協会と共催して『診療報酬講習会』を開催することを予告したほか、QMS調査に対応した『ミニ講習会』を企画していることを発表した。
「QMS調査を受けると、必ず何らかのご指摘を受ける。われわれ企業側も厳しい内部監査をしているが、指摘を受けなかったという企業を聞いたことがない。そこでQMS調査への対応や大事なポイントをPMDAの方から教えていただくミニ講習会の開催を考えている」と語り、今後も会員企業に役立つ事業を展開していくことを表明した。
このあと、臼井孝一副会長が『乾杯』の発声を行い、賀詞交歓会は開宴した。会場では参加者らが今年の医療用縫合糸分野の課題や展望を語りながら、情報交換と親睦を深め合った。