「ヘルスケア部会」開催【日本ウズベキスタン・シルクロード財団】
ウズベキスタンの医療事情をテーマに研修
日本ウズベキスタン・シルクロード財団ヘルスケア部会(部会長=松本謙一氏)は、日本とウズベキスタン両国の経済対話の促進を目的に、11月27日㈬午後3時から、東京・大手町のKKRホテル東京で「第20回ヘルスケア部会」を開催した。当日は『日本とウズベキスタンとのへルスケア分野でのビジネス展開に向けて』をテーマに、ビジネスセミナーを実施した。
開会にあたり、松本部会長は「ウズベキスタンには時々、お邪魔しておりまして、行くたびに色んな事情がわかってきて、どういう医療ニーズが求められているかを肌で感じて帰ってきます。例えば同国では未熟児で生まれる赤ちゃんが多く、国として対策を講じなければならない。これら医療ニーズに対して、日本としては国際協力機構(JICA)などを通じて対応を図っている。本日のセミナーでは、その辺の事情をつかんでお帰りいただければ幸いです」とあいさつした。
このあと、セミナーでは経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課の佐々木稔課長補佐が『医療の国際展開の推進に向けた経済産業省の取り組み』、JICA東・中央アジア部中央アジア・コーカサス課の登坂宗太課長が『ウズベキスタン保健セクターにおけるJICA協力の展望』、日本貿易振興機構(JETRO)企画部の下社学主幹が『急速に進展するウズベキスタンでのビジネス環境の改善について』--をテーマに、それぞれ講演した。
円借款で医療施設建設へ
メンテナンス体制の整備が重要
このうち、登坂課長は「ウズベキスタンの死因の大半は非感染症疾患で、イメージされるような感染症で亡くなる方は少ない。死因は心疾患や脳神経疾患、がんが大半を占めている。JICAではこういった問題にどう対応していけるか支援案件を日々検討している」と述べ、現在、取り組んでいる支援案件ついて解説した。
非感染症疾患への対策では「これまで同国のナボイ地域で、非感染症疾患の状況分析を行い、技術協力で専門家を派遣してきた。今回、新たに非感染症疾患の1次レベルでの予防を強化する技術協力事業を2020年に開始する予定となっている」と発表した。
医療インフラの強化に向けては「円借款により、タシケントに医療施設の建設や、他地域の既存2病院への医療機材の供与を考えている。新設の医療施設は120床レベルで診療科、外科、リハビリ科などが入る予定。医療機材の供与に関しては医療現場での使用はもちろん、医学部の学生の研修で使っていただき、日本製の医療機材になれてもらい、将来的に医療現場で使っていただければと考えている。質の高い日本製医療機材は円借款を活用して本格展開できる可能性があり、ウズベキスタン側からの期待値が高い」と説明した。
新設する医療施設については「日本の得意とする患者中心の導線を意識した病院設計のノウハウを組み込んでいければと思っている」との方向性を示した。
医療機材の供与に関しては「ウズベキスタンでは日本製医療機材への期待値は高いが、供与後はメンテナンスやサービス体制が肝になってくる。私どもJAICでも支援の準備調査の中で、単純にどの機材が入れそうかだけでなく、その企業が長くウズベキスタンにコミットメントする用意があるのか、も考えている」とメンテナンス体制の整備も重視していることを明かした。